資本主義では労働力を買うのがポイント

資本主義の分析

超訳「資本論」 お金を知れば人生が変わる

Audibleで出版(?)されているので、
おススメの一作。

聖丁師匠の理解と相違ない形で資本論を解説していると思う。
私のような言語能力イマイチな人間には丁度良い。

恥かしいことに、聖丁師匠に資本論を紹介してもらうまでは、
マルクス主義というものは共産主義者が読むものであり、
自由主義経済を信奉する人間が手に取るものではないという偏見を持っていた。

穴があったら入りたい。

大学の頃に経済学の授業も受けていたが、
よくわからんグラフを描いて、
理屈っぽくて分かりにくい。
結局色んな書籍を買って読んで、分からない。

そんなことを繰り返してきたように思う。
振り返ってみれば、私の経済学に対する勉強が浅いままに
この歳まで過ごしてしまったのは「思索」が足りなかったのだと思う。

ここに至ってみれば、
現在主流派である「新古典派」という学問、それ自体が
間違っているとは言わないまでも、
現実をゆがめて解釈する学派であることから、
シロウトが分かりにくくなっているのだと思う。

経済学が難しい学問であるほど、有利になる。
学問を学問としておくことで有利に使おうとする人間には、
実に都合がいい。

しかしながら、経済の語源は「経世済民」である。
民草のためにならぬ経済学など、もはや語義矛盾である。
現在主流となっている経済学は間違っている。
と、私は思う。

そこを行くと、マルクスの資本論で分析された「資本主義」
は実に腹に落ちる。
(原書を読んだわけでもないので偉そうに言って申し訳ないが)
資本主義を徹底的に分析し尽くしたと、言われるだけあって、
実に明快である。

解決策こそ間違っていたものの、
後にケインズが出て、しっかり資本主義の内包する問題に対する
解決策を提示しているのであるから、
やはり、古典派➡マルクス経済学➡ケインズと、発展してきた学問であると理解した方がいい。

ただ、金持ちにとってはマルクスの資本論も、
ケインズも都合が悪い。
資本主義を「自由放任」にしておく方が絶対に都合がいい。
労働者は労働力回復に必要最小限の支払(給与)で使うことで、
利益を最大化するのであるから、
福利厚生やら、社会保障等、ない方が都合が良い。
剰余価値は資本に蓄積され、資本を最速で最大化できるのだから。

どうも目的ありきで主流派経済学というものが決まっている気がする。
まあそんなことは、私の知ったことでもない。

さて、本題。

社員を雇うなんて割に合わないという「通説」

私自身、今でもそう思うのであるが、
「社員を雇うなんて、コストもかかる割に利益が少ない」
という発想を持っている。
人間関係も複雑化するし、いいことはない。

と、思いがちである。

しかし、資本論を読んで(聴いて)みると、
そうではないことが分かる。
結局、すべての商品の価値は労働によって定義される。
つまり仮に1,000円の商品があり、その内訳を分析していくと、
(1) 労働者の労働力回復の費用(給与) 300円
(2) 原価やら固定費やら 500円…元をたどれば労働力
(3) 利益 200円
となる。
労働力を買い(社員を雇う)、労働者に払う対価よりも高く売ることで、
資本が蓄積していくのである。
そう考えると、労働力のレバレッジを使うこともまた、
借金のレバレッジを使うのと同じように有益だと分かる。

なるほど、聖丁が社員を雇うのも資本主義では王道なのだなと、
妙に納得した。

確かに大家業では、社員を雇う必要もない。
必要な工事やらテナント対応は外注することができる。
自前で社員を使うと、教育しなければ使えないし、
社会保険料やら福利厚生も必要だ。
しかし、外注先は当然それも負担した上で外注費を請求してくる。

確かに自前で大家業の売買部隊、管理部隊、リフォーム部隊という社員を雇った方が、
長期的には自分の思い通りの運営ができる。
そして、組織を作ってしまえばあとは自動的に動くようになる。

そう考えていくと、やはり資本主義の攻略法として、
商品を作り、労働力を買ってそれを管理運営していくことが王道なのだなと思う。

自分の労働力を売りながら、
生活費を抑えて貯金を作り、不動産を買い、外注を駆使して運用するのは、
王道ではないと思い始めた。

これは市場の歪みを利用した裏技であって、
実際に大家業に多数の優秀な若手が参入しつつある。
安く仕入れるのも難しくなってきた。

資本主義の王道に舵を切った方が良い気がしてきた。

日本の教育システム、中小企業支援策、常識を全て利用すべきかもしれない。

幸いなことに日本の教育システムは「労働者育成」を主眼に置いている。
キンコンカンコンと、チャイムが鳴ったら席に着く、
体育になったら着替えを終えて5分前には体育館(校庭)に整列。
先生(上司)のいうことは聞く。
時間厳守、マニュアルに沿って動く。

なるほど、私も実によく調教された勤め人だ。
スーツを着て、身だしなみを整え、7:00には出社して仕事の段取りも整える。
労働力回復のコスト(給与)の数倍の収益を勤め先にもたらす。

学歴でラベリングされているし、
履歴書でおおよその性能も分かる。
ありがたいことに、労働力は自分で起業するという訓練も受けていないから、
独立する危険がありそうな社員は少ない。
オマケに家族でもいたら、辞める可能性も下がる。
そうだ、だから大企業は社員に結婚して家庭を持つことを求めるのだ。

労働市場がちゃんと整備されているので、
ここから適切に仕入をして、
商品に見合った労働力を調達すればいい。

私は何とか勤め人大家で逃げ切れると思うが、
本音を言うと、息子達に同じことだけ教えるのは少々不安であった。

まずは息子達には、資本主義とはナニモノなのか?
をしっかりと教え、王道は商品を持ち、労働力を調達してビジネスを回すことだ。
と教えなければならないかなと思っている。

早慶程度の学歴を取って、ホワイト企業に潜り込み、
出世を目指すことなく、生活費を抑えてカネを貯めて貸家を買え。
と言うのは簡単だ。

遠回りかもしれないが、王道を教えていかねばならぬと思い始めた2021年11月。

つづく