借金をおそれないために

考え方

なぜ借金が怖いのか?

人は恐怖を感じる生き物である。
サウザー師匠の言う、
「恐怖と強欲」のうちの恐怖である。

この2つと対をなす言葉である
「知恵と勇気」で克服しなければいけない。

さて、まずはその「知恵」で借金がなぜ恐怖を感じるのか考えよう。
借金が恐ろしいのは返済できない時に大変なことになるから。
であろう。
ほとんどの人は借金が返済できなくなったらどうなるかを知らない。
知らないものには人は恐怖を覚えるものだ。
私は借金取りをかれこれ15年以上続けているのでその辺は詳しい。

結論から言ってしまえば、
「無理やり回収される」
この1点に尽きる。

ではさらに「無理やり」とは具体的にどういうことか?
それは「法的手続」により回収される。
という事である。

法治国家の日本に置いて、
国家権力以外が暴力的な手段を使って、財産権を侵害することはできぬのである。
いくら借金があるからと言って、貸した相手は暴力的な手段で回収することは許されない。
だから、脅されたり、怒鳴られたりしたら、速やかに録音、録画して、
脅迫されたと言って、警察に通報するだけである。

適法に経営している銀行、ノンバンク、サラ金は、絶対に
暴力的な手段では回収してこないので問題ない。
ただし、法的手続は駆使して回収にかかるであろう。

要するに怖いのは返済できない時に行われる法的手続による回収。
という事に尽きる。
払う払わないで暴力が介入する余地はない。
(ただし反社会的勢力から借りた場合は法律の枠外で回収されることはあるだろう)

法的手続とはなにか?

要するに差押である。
借り手が持っている財産を強制的に取り立てる。
これに尽きる。

即ち、財産がなければ何も取られることはない。
命を取るのは素人のやることである。
命を取ってもカネは返ってこないし、
命を取ったら重罪であり、割に合わないのである。

ただし財産がなくても給与をもらっていると、
給料を差押されることになる。
借金が完済になるまで将来に亘って取立されることになる。
現在持っていなくても収入があればその水源を押さえられるのである。

商売をしている人であれば、毎月入金されているカネを押さえられることになるし、
サウザー師匠のようにラーメン屋をしていたら、
ラーメン店のレジから売上金を差し押さえられることもある。

ちなみに年金や生活保護は差押できないので安心だ。
要するに収入もなければ差押もされない。
つまり、債権者は何もできないのである。

住宅ローンや投資用不動産ローンであれば、
担保に取られた物件を強制的に売却されて回収される。

借金が危険となるケース

借金の恐怖の正体は法的手続であり、法的手続によって何が起こるかは概説した。
であれば、正常に返済できれば問題ないのだろうか?

いや、違う。
世の中には住宅ローンを正当化する人も多い。
しかし、住宅ローンでも正常に返済できていたとしても、
これは危険な借金なのである。

自動車ローンも同じ。

共通点は何か?
返済原資が自分の労働力であること。
これである。
借金の返済原資に自分の労働力をリンクさせる場合は、
全ての借金が危険である。

確かに住宅ローンの場合にはどうせ家賃を払うので、
それに見合った返済額であれば安全に見える。
しかし、生活は変わる。
離婚、子供の自立、親の同居。
30歳の時に35年間同じ場所に住み続けるという人生の枷をハメられることになる。

この激動の時代に35年同じ場所で
同じライフスタイルを送れる人は少ない。
私も実際に最初に買った家から転居した。
あと18年以内にはすべての子供達が大学を出る。
その時全員が同居するかどうかもわからない。

5人家族なので、5部屋の個室が欲しい。
これを建築してしまったら私達夫婦の老後は、
広すぎる家で掃除が大変な毎日になることだろう。
海外に移住するというプランも描けなくなる。

何よりも、自分が65歳まで稼ぎ続けられるかという疑問もある。
勤め人の給料を住宅ローンにリンクさせてしまうと、
勤め人が辞めれなくなる。
まあ、雇い主からしてみれば、住宅ローンを借りるような人に対しては
「コイツはやめないな。」
と、思い、ニヤリとすることだろう。

勤め人という立場に自分を固定化することになるであろうし、
なおかつ病気やケガのリスクに直面することになる。
疾病保険付き住宅ローンもあるだろうが、
そもそも住宅ローンを組まない方がよほどマシだ。
アタマを小突かれている時に
ヘルメットをかぶればいい。と言っているようなものだ。
そもそもアタマを小突いてくる相手を止めた方が良いだろう。
ヘルメットもタダではないのだ。

良質な借金

では、危険でない借金。
良い借金とはなんだろうか?

それは「借金によって借金以上に稼げる場合の借金」である。

例えば利回り20%、都心部の貸家3000万円が売りに出ていたとする。
これを年5%の金利で20年のローンを組む。
これは正解だ。

3000万円の20%で家賃収入が600万円
元金の返済が年間150万円、金利が150万円で併せて300万円を
毎年払っていく。
(大分おおざっぱに言っているので、返済が進めば金利も減ると言う意見は無視する)

毎年300万円の利益が得られる。
これが良い借金である。
返済以上に稼げる借金は良い借金なのだ。

自分の労働力ではなく、収益を産む不動産、他のビジネスとリンクしていない借金以外はするべきではない。
私の1号物件も元々そんな目論見で買ったのだが、
結局毎月のキャッシュフローは1万円程度なので、
けしていい借金とは言えない。

まとめ

悪い借金は返済と自らの労働力と結びつく。
良い借金は返済と商品(商売)が結びつく。

やはり商品(私の場合には大家業)が優れているかどうかを見極める能力も必要にはなるが。

奨学金もその意味では悪い借金だ。
特にFランク大学に入るために借金をする必要はない。
さっさと働いた方が早い。
一流大学なら多少悩ましい。
借りてもいいかもしれない…。

ただし、どんな企業に就職していくら稼げる。
それは高卒労働した場合との比較シミュレーションが必要だろう。

おわり