天才コメディアンの故植木等さんも言っている。
植木等さんで笑ったことは一度もないが、
昭和を代表するコメディアンの植木等先生もこのように仰っていたそうだ。
特に平成になって以降は、そうとも言えない世相になってきたが、
昭和期にあってはまさにその通りだったのだと思う。
その時サラリーマン(以下、勤め人と言う)をしていたこともないので、
何とも言えないが、今でも多少はこの言葉には合理性があると思う。
勤め人から卒業することが声高に叫ばれる現在、
果たして気楽な稼業である勤め人を気楽と言い切るためには
どのような条件が必要なのか?
考えてみたいと思う。
けして昔の勤め人だって気楽じゃなかったと思う。
昭和の勤め人も大変だったと思う。
土曜日だって働いていたし、
残業も当たり前だった。
セクハラ、パワハラなんて言葉もなかった。
即ちそれが日常だったわけで、
ブラック企業と言う言葉もないし、
スマホもないから、被害者は泣き寝入りである。
そんな状況で「気楽」と言える勤め人の方が少なかったとは思う。
それでも経済が成長して、
日々生活が良くなっていく実感があったのあろう。
その充実感がブラックな側面を覆い隠していたと言う解釈もできるだろう。
私は決して昔の勤め人が気楽な稼業だとは思わないし、
現代の勤め人が気楽な稼業だとも思わない。
しかし、勤め人を「気楽な稼業」に「する」ことは「できる」
勤め人卒業のハードルは決して低くはない。
私は最近「人間が努力でなんとかできることは人間が思っている以上に少ない」
という説を信じている。
小さな商売ですらできない人間はかなりの数、いる。
できない理由はたくさんあるが、
① 自分にはできないと思い込んでしまう。
② 起業して失敗する恐怖、今の勤め人収入を失いたくないと言う恐怖
③ 現状を維持したいという安全性を求める感情
これらは想像以上に大きい。
日本の教育システムは勤め人養成課程であるから、
このシステムに乗ってきた人間程、そのレールから外れることは恐怖である。
まあ、色々な理由はある。
私だって、今の給料を失う恐怖、上昇する不動産市場を相手に、大家業だけで
勝ち残れる自信がない。
上がり続ける教育費の負担とそれを補填する手段がないこと。などなど。
勤め人という殻を破って中小企業のオヤジになることは、
かなり難しいのだ。
恐らく私ももう10年近く、勤め人を続けるだろう。
起業する気持ちになれるのは、
子供の教育費の目途が立った時だろう。
30年も勤め人という立場にいることになる。
だが、そんな人はかなり多いと思う。
そんな人が快適な勤め人ライフ、
気楽と呼べるだけの勤め人ライフを手に入れるためのプランを考えたい。
息子達にも提案できるプランにしたいと思う。
現時点では
① 勤め先の扱う「商品」自体に競争力がある。
② 低ストレス・高自由
多く挙げると焦点がブレるので2つに絞った。
バフェットの投資のルールも2つである。
「1つ、絶対に損をしないこと。
2つ、1つ目の原則を絶対に忘れないこと。」
① 勤め先の扱う「商品」自体に競争力がある。
これは極めて重要なポイントだ。
では、勤め先が扱う商品に競争力が「ない」のはどのような業種か?
銀行、保険、不動産仲介
このあたりだろう。
銀行と保険に典型だ。
この業種は給与が比較的高いので間違って入社してしまいがちだ。
どの銀行でも、どの保険でも大体似たような商品を扱う。
同じような商品を扱っている以上は、
差別化の要素は「人」になってしまう。
担当者の能力が求められる商売はどうしてもキツくなる。
また、銀行はソコソコ勉強もできて、
コミュニケーション能力も高い人間が集まる。
双子の兄弟のケンカを想像して欲しい。
能力が同じような人間同士の戦いは苛烈を極める。
ヘビー級とフライ級のボクサー同士ならば圧倒的にヘビー級が勝つ。
まさにボクシングで言うと、ウェイトの差が商品力の差であろう。
これ以上の説明は不要だろう。
②低ストレス・高自由
①の原則を守っていれば大丈夫なはずだが、
高い商品力を持つ会社でも、別に社員をガンガン働かせる社風にすることはできる。
あくまでも傾向の話に過ぎない。
①に当てはまらなくても②が実現されている企業もある。
しかし少ない。
②が実現できれば①である必要はない。
しかし、①ができてないにも関わらず②を実現してしまうと、
その企業は倒産する可能性が高い。
若しくは極端に労働分配率が低い(要するに給料が安い)可能性がある。
②を実現するためには①が必要なのである。
①は市場をよく分析することで選別が可能だが、
②は個別、企業の話なので、噂や離職率、社員や取引先から直接ヒアリングする等する必要がある。
かと言って新卒社員が先輩社員に聞いてはいけない。
床屋に行って髪を切った方が良いかを聞くようなものだ。
気楽な稼業にするための「プラスアルファ」
勤め人を気楽な稼業にするために不可欠なのは
「プラスアルファ」
私で言うところの「大家業」を並行して走らせるということだ。
低ストレス/高自由時間で勤め先を選ぶ理由は
「楽をするため」ではない。
低ストレス、高自由の代償は「低給与」である。
低給与に甘んじろという理屈ではなく、
「自分のビジネス」を回すために、自分の気力と体力を温存することが最大の目的である。
最近は情報が広まるのが早いので、「大家業」も決して
楽勝ではなくなってきたが、
それでも再現性が高いビジネスである。
大家業は依然としておススメだ。
高ストレスの勤め先では、気力と体力が削られる。
削られた気力と体力では自分のビジネスが回せない。
低ストレスで温存した気力と体力を自分のビジネスに投入しなければならぬ。
①と、②は非常にシンプルであるが、
この原則を「腹に落とす」には前提となる知識がたくさん必要だ。
・給与が労働力回復のためのコストであること。
・資本家の利益の源泉は労働力回復のためのコストを超えた労働により産み出されること。
・高い給与の理由は「労働力回復のためのコストが高い」ことにあるということ。
・平均的な勤め人を基準に給与が支給されるのであるから、自らの平均以下の生活コストに抑えることで自分のビジネスの種銭を貯める必要があること。
・昇進、異動による昇給は、高ストレス/低自由時間に直結する。
これらをしっかり理解していないと、
再び、道を間違える恐れがある。
そして何より大事なのが
「なぜ、私はカネ持ちになりたいのか?」
という動機である。
モチベーションという奴である。
なぜ勤め人+アルファで自由で高い年収を狙うのか?
である。
定収入でも好きな仕事をずっとやっていられれば、それでよい。
という人もいるのだ。
なぜ、あなたは、金持ちになりたいのか?
今一度自分にも問うてみたい。
つづく