勤め人をする上での心構え

働き方

まず心すべきは「俺の会社じゃない」という意識

経営者意識を持て。
いい言葉だな。

ただ、何がいいのか?
誰にとっていいのか?
その結果どんないいことがあるのか?

深堀りする必要がある。

まあ、深堀する必要があると言いながら、
実は浅いのだが。

要するに経営者、株主にとって良い。
日給月給の労働者が、企業の価値向上の意識を持って労働してくれるのだから、
こんなにありがたいことはない。

誠に残念なことだ。
私も3社目までは自分の会社だという意識を持っていた。
年間8,000万の粗利を2年連続で叩き出した。
しかし、私の待遇は全く変わらない。
平社員のままだ。
別にそれは構わんのだが、給料が変わらないのには苦しんだ。
昇給は数千円(月)だった。

大いに怒ったものだ。
株主は今のアントキャピタルという投資ファンドで、
上場を目指して、創業者からバカみたいな高値で株を買っていた。
利益を多く出して上場しようという作戦だったのだろうが、
従業員のやる気は地に落ちる。
ストックオプションはあまり賢そうでもない、
金融機関から流れてきたオジサン連中にだけ付与されていた。

結果的に、フィー・ビジネスだけやっていればいいのに、
自己勘定で投資をやりだした。
それも借入金でやるもんだから、
リーマンショックが直撃して、金融機関が一気に引いた。
勤め先が不動産のセクターに分類されていたものだから、
融資が一切出なくなり、あっという間に倒産してしまった。

不良債権ビジネスなので、ぐっと我慢しておけば、
すぐに不良債権が増えて、仕事も増えるのに、
真っ先に自社が倒産してしまった。

2つ前の職場はサラ金の子会社だったが、
こっちはこっちで、貸金業法が改正されて、親会社がSMBCになった。

レーサムだけはリーマンショックでも生き残った。
さすが「いい薬」を使っている社長に率いられていた会社だけのことはある。

つくづくどれもヒドイ会社で30歳まで過ごした。
私の20代は暗黒の時代そのものだった。
妻もせっかく共働きできると思って結婚したのに、さっさと出産して
産休である。保育園に預けて時短勤務で、パートか!
という程度の給料に減って、非常に厳しかった。

いいところが全くない。
新卒である程度しっかり就職先を選定するのは大事だ。

勤め人と言う生き方に対して、スタートからいきなり
軽蔑、不審をもってしまったのは、私にとって不幸なことだったのかもしれない。
ちゃんとした企業に入社していれば、
私の人生も変わっていたかもしれない。

が、私の意識はこうだった「俺の会社ではない」。

やる気を出すと煙たがられることがある

若い頃はやる気があると評価される部分もある。
幸い、勤め先には恵まれなかったが、直属の上司には比較的にいい評価を受けてきた。

だが、一生懸命「指示通りに」働くことは歓迎されるが、
「提案」に関してはほぼ、歓迎されない。

そもそも10%の収益性で2年で回収完了する投資をやれ。
と、言われたら、5%でも10年安定して投資できる方がいい。
と、逆提案することはダメ。
企業の方針として10%、2年で稼げというのは必達だ。

私の4社目の銀行は国家から公的資金を注入されているにも関わらず、
全然返済しない。
そのくせ給料は高い。一時国有化されていて、
優秀な銀行員は転職済で、残っている社員は残りカスそのものだった。

話がそれたが、短期に稼がないといけないという至上命題があるのだから、
5%で10年の投資をやっている時間はない。
短期の時間軸で動かねばならない。

しかし、10%、2年ってルールに従う限りにおいては、何をしてもいいのだ。
私は収益物件サイトに載っている不動産屋に一括FAXを送信した。
さらに登記情報の変動があった場合に教えてくれるサービスを購入した。
それを使って10億、2年、10%のマンション開発PJ案件を一本釣りした。
大いに賞賛されたが、
その賞賛と引き換えに私は辞表を出した。
ちょうど今の会社にヘッドハンティングされたのである。

要するにやる気の見せ方が重要なのだ。
大方針自体に異論を言ってはならん。
誰もが「どうでもいい」と、コダワリを持っていないところで
突き抜けたことをやると、案外結果は出る。

しかし、今思えば、
別に私はあんなに一生懸命働く必要はなかった。
実際に当時40代、50代の社員は、アホくせーって顔をして、
適当に知り合いの不動産会社を訪問して、適当にやっていた。

まあそんな程度だから、今ではその銀行は携帯電話屋の子会社におさまった。
携帯電話屋の上司の元、昔の偉そうな上司もさぞ楽しい生活を送っているだろう。
平社員の皆さんは相変わらずのんきにやっている。

勤め人は自分の環境を最適化させようとする

元私の上司で天才がいる。
天才過ぎて、無能な私をクビにしようとするほどの天才だ。

この天才。
社員を積極的に採用している。
要するに固定費を増やしている。

普通の経営者がこれをすると言うことは、
ビジネスチャンスが見えていて、売上を大きく上げるチャンスを見つけているのだと思うだろう。
私もそう思った。
「いよいよこの会社も、スケールするか!」と。

しかし、私の予想は外れた。
なんと、勤め先のメインビジネスである事業規模を縮小させたのである。

JTがタバコの販売本数の目標を引下げるようなもの。
セブンイレブンが店舗数、店舗の売り上げ目標を下げるようなもの。

狂っている。
資本主義に反する行為である。

なぜこういうバカなことをするのかと言えば、
「自分が楽をしたいから」
これに尽きる。
自分はふんぞり返って、若手に偉そうに指示を出す。
そのために若手を採用するという寸法だ。

結果、勤め先の売上は横ばい。
固定費が増加した。
損益分岐点が下がった。
そのくせ、このままでは危機だと言っている。
まさに狂っている。
意味が分からない。

さらに驚くのは、この方針をオーナー社長が容認したことである。
このオーナー社長は次世代への事業承継を目指しているため、
一応やらせてみるという姿勢なのだろう。
あくまでも私の予想だが。

しかし、資本主義者としては超えてはいけない一線があると思う。
本業の収益を落とすという行為である。
無理な営業を抑える(売上目標を控える)のは分かる。
その場合には固定費を削減して、損益分岐点を下げる。
しかし、採用を増やした。

意味が分からないのだが、
まあ私をクビにしてコストを減らそうとしたのも、その一環かもしれん。

とにかく、平凡な勤め人とはこの程度なのだ。
会社の将来なんて考えちゃいない。
自分が楽に、給料をもらい、快適に生活することしか考えていないのである。
彼が悪いのではない。
勤め人と言うのはそういうものなのだ。

俺100%株主の商売でならマジになれる

一部、まれに、勤め人としてでも一生懸命やるヤツはいる。
SAT債のホルダーにも勤め人の身分で関連会社の社長などをやっている人もいる。
勤め人の立場なのに新規事業を立ち上げて、自分が社長になって頑張っている。

ある意味、そういうやる気がある社員を受け入れる
度量がある経営者ならいいが、
私の勤め先はそうではない。
私も若かりし頃には、数々の提案をした。
しかし、そのたびにボロクソに批判された。

あまりの仕打ちに、「私は、借金回収だけしていればいいということですね?」
と、聞いたら、「そうだ」と言われた。
なるほど、それなら、確かに、私がやっていたことは余計なことだったのだ、と、今は分かる。

私はどうもやる気があふれ過ぎるタイプなので、
余計なことまでやって差し上げてしまう。
特にこういう猪突猛進、フルパワー男ってヤツは、会社として扱いにくいのかもしれない。
さらに、銀行OBが多い会社なので、とにかく手堅く仕事をしようとするから、
私のような人間はコンプラ問題でもヤルのではないかと思われて、
要するに危なっかしいのだろう。
(ちなみに始末書を書くような失態は勤め人生活20年以上になるが1度もない)

実際、勤め先からは評価もされないので、
私のようなタイプは、自分でビジネスをしたらいいのである。
こうやって勤め先の不満をブログに書きながら、
自分のビジネスにまい進する。
(無論情報は特定されないよう細心の注意を払っている)

所詮他人の商売で、求められてもいないことを頑張るのはやめた方がいい。
さっさと自分で会社を作って、勤め人はホドホドに切り上げて、自分の商売をしたらいい。

恐らく私はエネルギーが他人より多いのだと思う。
勤め人は「普通の人」がやるもので、
私のようなタイプがやるべきものではなかったのだろう。

普通の人は事業所得で赤字を出して、所得をゼロにして保育園料金を子供3人ゼロにして、
所得税を全額還付、住民税をゼロにしたりはしないのである。

まとめ

最近、聖丁の白熱教室でエース氏のしくじり教室を聞いた。
ネタバレギリギリだが、エース氏はきっと、最初の職場でずっと定年まで居座るべきだった。
しかし、彼は夢を持って飛び出したのだ。
その結果、資本主義の洗礼を受けることになった。
そんな話だ。

私も本来分不相応な、勤め人ワールドに迷いこんでしまったのだ。
縦横無尽に暴れていたら、
勤め人ワールドの住民は困惑する。
煙たがられる。

それを理解した私は、空気に徹するようになった。
40歳にしてやっと、である。

言われたことだけやる、
勤め先が危機だ!全員営業で案件を持ってこい!と、言われて、
やる気を出して案件を持ってきたのに
ケチョンケチョンに貶(けな)されるまで気づかなかったが、
あれは勤め人だけが分かる「劇場」なのである。
私はノンフィクションだと思って、うおおおおお!
と、本来業務範囲外の営業をやってしまったが、
他の社員は「ああ、それね」と、冷めた目で見て、
担当業務外の営業なんかしないのである。
あれは、営業担当者を奮起させるプレイなのだった。
もしくは、結果が出せなかったらクビにするための前振りなのだ。

そこで私が案件を持ってくるという行為は、
脱出イリュージョンで、箱に入れられて燃える家に置かれたスタントマンを助けるために、
水をかぶってダッシュするようなものだった。
「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!!!!!!」
というヤツだ。

勤め人という連中はそういう、なんだが、芝居みたいなことをする。
私は素直な人間なので、そういうのが分からなかった。
岩手の純朴な中年だったので、理解するのに時間がかかったよ本当に。

勤め人世界の「お約束」そう、
ダチョウ倶楽部の「押すなよ」と言うネタ。
「誰がやるんだよ、じゃあハイハイハイ、どうぞどうぞ」
あれだ。

勤め人の人間関係ほど薄っぺらいものはない。
人としての関係性とは程遠い。

まとめると、

勤め人とは「芝居」なのだ。
与えられたロール(役割)をプレイしていればそれでいいし、それ以上をやったら台本が
台無しになるから、余計なことはしないことである。
(ただし、マネージャーになると事情が変わる)

自己実現は「俺の100%出資会社でやればいい」
有給をフル消化して、定時に帰って、やるのだ。
それでいいし、皆、自分に迷惑が掛からなければ、俺に関心などない。

ただ、中間管理職や部長となると事情は変わる。
ガラっと、変わる。
残念なことに、私は46歳だが、この齢になるまで、
1人の部下ももったことがない(笑)。

そっちは他の人に聞いてくれ。

をはり