投資は常にキャッシュ不足との戦いだ

運用の話

デフレの申し子SAT

社会人になってからずっとデフレだった。
牛丼が280円でマックが100円の時代も生きてきた。

大家業もデフレ型の投資というヤツがある。
即ち、継続的に土地建物の価格が下落していく時期だ。
この時期の投資は、物件価格の下落に負けずに家賃を回収して利益を上げなければならん。
物件価格がこれ以上下がらんやろ!
即ち土地値の物件が出回る時期。

土地の下落率が2%だとすると、
1億だと毎年200万ずつ価値が減っていく。
家賃が年1,000万円(表面利回り10%)。これで下落する物件価格を吸収ながら利益を確保。

とはいえ、結果的に不動産の価格は私が買い始めてからはずっと上がってきたと思う。
物価は確かに下落していったが、資産価格は上がっていったのだ。

これはどういうことか?というと、
庶民は増税増税で手取りが増えないから、購買力が下がる。
購買力が下がるからモノが売れない。
仕方ないからモノの価格を下げてデフレとなる。

しかし、経営者側は海外で生産してコストを抑えて利益を確保してきたのだ。
原価を抑えて利益を出したり。
そうやって利益を出して、その利益と融資を使って、
資産を買っていったのである。

つまり庶民と資本家の差がどんどん拡大していたのだ。
そう見ている。
私も庶民ではあったが、支出は切り詰めつつも、
ダブルワークとダブルインカムを組み合わせてキャッシュを作り、
不動産を買い進めることができた。

極端な話、1件でも不動産を買ってしまったら、
それは「資本家側」に切り替わる。
労働力と切り離された収入の有無。
この0(ゼロ)と1(イチ)の間には無限とも言っていいほどの差がある。

資本からの収入を浪費せず、さらなる資本の拡大に投資していく。
この歯車の回転は一度回り始めたらもう止まらない。
バカ息子に相続でもしない限り回り続ける。
ウォーレン・バフェットの資産規模は本人が止めようとしても、
案外止まらないと思う。

不良債権の売却なんてのも、
こんなものは正常な資本主義経済では必要ないことだ。
別に債権なんてものは、インフレが徐々に進む中で自然に目減りしていって、
最終的には処理できるものである。
別に売却などする必要はない。
不良債権処理はハードランディングさせてはいけないのである。
日本のバブル処理はハードランディングさせて外資の草刈り場にしたが、
リーマンショックの震源地のアメリカでは、
公的資金を出しまくって解決したじゃないか。
あれでいいのだ。

まあ、そんな不景気、デフレ期に社会に放り出されて、
ここまで生き残っただけでなく、
氷河期に太り続けてきたのが俺だ。
まさにデフレの申し子である。

インフレ時代への対応力

投資という意味ではインフレ期
(厳密にはスタグフレーションだが)に差し掛かっている。

私はまだこのインフレ型投資に対応しきれないでいる。
引き続きデフレ型の買い方をしてしまっているのだ。

年収も増えたので、レバレッジを掛けられるだけ掛けて買うのがいいに決まっている。
インフレ率が3%だから、
10億の不動産を持っていたら、その不動産は翌年10億3,000万円に上昇する。
一方、借金の残高は10億のままかもしれないが、
債権の価値(つまり自分から見れば借金の重み)は減る。9億7,000万円ってことだ。

即ち3%のインフレで、不動産は3%上昇、債務は3%減少すると言ってよい。
なんとPLとは別に、6,000万円の利益が出ているのだ。
そしてこの6,000万円は非課税である。

10年3%のインフレが続いたら、もうそれだけで6億円の資産形成に成功したことになるのだ。
もうサラリーマンの生涯年収の3倍近い金額を10年で構築できてしまう。

私もまさにこれをやるべきなのだが、
なかなか踏み切れない。
長らく染みついた、デフレ脳のせいだ。

利回り6%の物件を金利2%でフルローンであっても、
キャッシュが回るのであれば買うべきなのが今である。
しかし、そこに踏み切れないのが私の弱い部分である。

ずっとそうやれば良かったと思っていたが、
今さら変化するのは難しい。

私はインフレへの対応力がないのである。

さらに悪いことにキャッシュがない

今年は3月に1,400万をフルローンで投資して2戸投資した。
諸費用は自己資金で負担したのでカネがなくなったタイミングで、
追い打ちをかけるように6月に物件をまた買った。
これも嫁の法人ファイナンスだが、リフォームはキャッシュで払った。

私の給与は確かに平均値から比べると高いのだが、
これは給与だけで生活するのであれば、
悪くない。
しかし、経営者が動かすカネはケタが少々違う。

リフォーム、火災保年更新などで、100万、数十万単位の金額が面白いように飛んでいく。
さすがの私も月給の手取りが100万円もあるわけがない。
貯蓄できるとしても月20万円が限界だ。
これで毎年1,000万円程度の貸家をキャッシュで買っていくのは、
相当に無理があるのだ。
3年に1件も買えたら御の字ではないかと思う。

当然私も、キャッシュだけで買い進めるのは無理。
借入も併用しながらスピードを上げていくことになる。

借入を使ったとしてもだな、
仲介手数料、ローン事務手数料、抵当権設定費用、新規火災保険など、
手許のキャッシュは出ていく。

そんなわけで、8月9月の私の資金繰りは火の車である。
今回は本当に難儀した。
今後は法人個人合わせて500万円程度のキャッシュは維持しておきたいと思う。
理想的には、総資産の2割程度の現預金は持っておきたい。

をはり