地方の温泉旅館のオーナーになるには?

債権回収

珍しく債権回収カテゴリーの話を1つ

私の仕事は不良債権なのですが、
地方の温泉旅館の債権もあります。
借金取りはただ借金を取り立てて回収すればいいわけではありません。

あえて回収をせずに、逆にお金を出して設備投資をさせて、
売上が回復した上で回収するという作戦も採用します。

バブルの頃に設備投資を頑張り過ぎた旅館

仕事柄温泉旅館などの決算書を見ることが多いのですが、
売り上げ規模と比較してトテツモナイ金額の負債を背負っているケースが非常に多い。
特にバブル期にはじゃぶじゃぶに銀行が貸し込んで、
高い建設費をかけてホテルや旅館を建築しているので、
その後バブルが崩壊して国内旅行市場も崩壊。
過剰債務に陥ったホテルや旅館がバタバタと破綻していったわけです。

むしろ民事再生手続を1度も経験していない旅館の方が少ないのではないか?
と、思うほど、あっちもこっちも破綻しています。
個人客相手ですから、旅館は遠慮なく民事再生手続開始の申し立てをします。

これが大手と取引をしている下請け工場であれば、
民事再生などやってしまうと取引を切られてしまうので、
躊躇してしまいますが、温泉旅館は遠慮なく法的再生手続を選択したりします。

私も10件以上温泉旅館の債権を取り扱った

タイトルにある通り、温泉旅館は結構安くオーナーになることができます。
例えば経営不振で赤字の旅館などは非常に事業価値が低い。
解体してたたき売っても田舎の土地なので数百万円にしかならない。
オマケに赤字の旅館。

「誰が買うねん!」
という話です。

しかしながら借金は数億円あります。
このような場合、債権者はどうやって回収しているのでしょうか?

回収していません

回収していないというのが本音です。
役員報酬を1,000万取っていれば240万円にへらさせて、
利益を出すように仕向けたり、コストカットも頑張りますが、
焼け石に水です。
結局営業利益が出てこないのです。
そんな状況で考えるのは1つ。

旅館の身売り

この温泉旅館を買いませんか?
と、旅館自体を売ることです。

これによって星野リゾートやアパホテルも相当物件数を増やしたと思います。
ただ、彼らのお眼鏡(めがね)には叶わなかった。
もっと小規模な温泉旅館はたくさんあります。

そのような身売りは水面下の水面下のさらに水底で取引されていて、
一般的にはその情報のカケラもつかむことはできません。
そんな情報は

① 銀行(金融機関)
② 旅館運営者自身
③ 旅館が依頼しているコンサル
④ または税理士

このあたりからしか得ることはできないのです。
楽待や健美家には間違っても掲載されることはありません。

私のようなサービサー(元)は金融機関の債権を買い取るので、
金融機関同様に情報を持っています。

さて、営業赤字状態で解体しても数百万円の旅館。
おいくらで買えるでしょう。

数百万もあればOK

ケースによりますが、
数百万円で買えると思います。
理論的な価格はゼロなわけですから、債権者としてもそれでOKなのです。

上手く情報を得て温泉旅館のオーナーになるという方法もあります。
(私は絶対勤め人で得た情報は出しません)

特に地元の金融機関としては、
地元の温泉旅館が廃業してしまうよりは、誰かうまく経営できる人に引きつぎをして、再生してほしいと願っています。
その意味では、多く回収をするよりも、再生してくれるのであれば。と、
格安で売却に応じてくれるケースは多くあります。

赤字の旅館買ってどうすんだよ。

と、いう指摘もありますが、
宿泊客がいるのであれば経費を削減したり、
広告の仕方を工夫したり、
DIYでリフォームするなどして、改善することはできます。

売上1億円
原価3,000万円
販管費8,000万円
営業利益▲1,000万円

この状況を売上高を上げたり、販管費や原価を削って
営業利益をプラス2,000万円まで持って行けたりしたら、
2億円は借りることができます。

そこから設備投資を入れてさらに売上をUPさせて
一気に大金持ち!も夢ではありません。

まとめ

そりゃまあ数百万円で買った旅館を再建して
営業利益2,000万円にしたらそれはそれは大儲けです。
利回りで言ったら数百%です。

私も勤め人を卒業して小金ができたら経営不振企業を1つ買ってみたいと思っています。

をはり