債権回収という勤め人

債権回収

債権回収が必要な時は異常事態である。

私は勤め人大家だ。
あまり勤め人の部分について語らないので、たまには債権回収という仕事を語ろうと思う。

資本主義社会では取引が重要である。
モノを売って、代金を受け取る。
代金を払って、モノを買う。
この連続だ。
スーパーに行って商品をレジに置き、
会計をしてクレジットカードで支払う。

そんな通常の「取引」が繰り返されている。

金融機関も同じことで、
預金する、通帳へ残高が記入される。
通帳の残高に応じて、
金融機関は預金者にカネを払い戻す義務が生じる。

今日も毎日、数百億の取引が、世界中で行なわれていることだろう。

しかし、
私のような債権回収の知識は、
正常な取引が円滑に進んでいる限りは、
全く役に立たない。
債権回収マンが活躍するのは、
正常に支払いがされない時。
である。

その意味では、犯罪がない世界に警察が要らないように、
債務不履行がない世界で債権回収の知識も要らない。
債権回収の知識が生きるのはまさに非常事態において。である。

回収不能は「結構ある」

クレジットカードの初期延滞。
住宅ローンの延滞4回。
完全にデフォルトし、期限の利益を喪失した状態。

債務不履行には様々ある。
実際の社会はそれほど厳しくない。

例えば住宅ローンの返済が1か月2ヶ月遅れたところで、
自宅を競売処分される可能性は低い。
遅れた分を払ってもらえれば、
再び正常に返済を続けることができる。

この初期延滞と呼ばれる、
数回の延滞は担当したことがない。
コールセンターのようなところが対応する。
主に女性が多い職場だろう。
個人的にはこの仕事はかなりキツイ部類だと思う。

電話で連絡するだけで、キツイことは言わないものの、
数をこなさないといけないし、
営業に出るということもない。
もう少し時代が進んだらAIがやってしまう業務かもしれない。

延滞3回以上になると、
男の出番であり、
私はここはやったことがある。
延滞が慢性化しているので、
勘違いやウッカリ、ではない債務者が相手である。

初期延滞からストレートに3回以上の延滞になる人は、
離婚やら死んでいたなど、業界でいう、
スペシャルサービシングというステージに進む。

延滞回数3回~4回でずーーーーーーーっと居座るレアな債務者もいる。
このタイプは「ルーズ」である。
そもそも口座から返済金が自動引落されるにもかかわらず、
延滞するのだから、金(カネ)がないわけではないのだ。
本当にカネがなかったら、延滞6回に行ってしまうはずだ。
債権者に督促されないと、口座にカネを入れない債務者、
引落日に間に合わず振込で返済する債務者というのも、
案外いるのである。

当然だが99%の債務者は正常に返済する。
1%を相手にするのが債権回収マンである。
私のような人間を正社員として複数採用しておかなければいけないのだから、
そのコストは正常に返済するお客様が負担することになるのだ。

1%と言っても、私は消費者金融やら、クレジットやら、
カードローンの回収はしたことがない。
住宅ローン、投資用マンションローンも担当したが、
最も面白いのは「法人相手」だ。
銀行マンの花形が法人営業部なのと同じなのかもしれない。
回収マンの花形は法人融資の不良債権である。

融資の要諦は回収にあり

20代から回収ばかりやってきたので、
融資などはしたことがない。
しかし、融資の稟議書やら、
申込書はよく見る。

融資は回収できるように貸すことであるから、
回収できるように貸せばよい。
担保を取って、毎月の返済計画が妥当で、
金利を負担しても問題ないような相手に貸すのだ。

その意味では、
カネ持ちに金を貸すのが最も良い。

銀行は晴れの日に傘を貸して、
雨の日に傘をとりあげる。
と、よく言われるが、

この銀行のスタンスを批判する人でも
自分のカネだと思ったら、同じことをするに違いない。
借りなくてもいい相手にこそ貸したいだろう。

若しくは万が一返せなくなった時に、
貸した金より高い価値のあるものを抑えておくことが出来れば、
枕を高くして眠ることができる。

やったことはないが、
私はカネ貸しもできると思う。
ただし、やりたくない。

資金需要が著しく少ない今の日本では、
借金をしてまで何か事業をしたいと思う人が少ないのだ。
そうなると、
借りてくれる客の奪い合いになるのだから、
勤め人としては消耗する。

このご時世であれば、
借金をする側に回る方が良い。
金融機関のサービスも大変よろしい。

さて、
まだまだ言いたいこともあったのだが、
量が多くなってきたので、また次回とする。

つづく