ビジネスジャッジ

ビジネスの話

勤め人をしていて面倒に思うこともあるが、
楽だと思うことがある。

それは「意思決定」である。
勤め人はその業務を遂行している中で会社に損害を与えたとしても、故意でもない限りその損害を賠償する義務はない。

但し、会社のルールに従い、
自分の権限の範囲の行為をしている限りは。である。

私も企業再建や債権回収の現場では、
重要な意思決定を迫られる場面がある。
担保の処分による回収額の意思決定もその1つ。

この不動産を1億で売り出す、9千万円の指値に応じる。
諸費用として引っ越し代を50万円認める。
これらの条件に対して、OKやNoを出すのは私の権限の外側にある。
これを勝手にOKを出して、
会社からNOの指示が出てしまったら大変だ。

この点を面倒だ。と、見るか?
自分で決めなくていいから楽だ。
と、見るかは難しいところだが、私は圧倒的に楽だ。
と思う方である。

所詮勤め人なので、会社のカネである。
利益が増えようとも、減ろうとも、私の給料には大きなインパクトはない。
一応現場の人間として、意思決定をするために必要な情報は全て与えるので、さっさと決めて欲しいというのが正直なところ。

仮に間違っていても私は構わない。
それが職制というものだ。

但し、自分の投資案件では私が決めるしかない。
今回の9号物件の滞納も、
自分で督促するか、
管理会社を入れるか?
弁護士に直接任せてしまうか?

選択肢は色々だ。
だが、その選択に伴うコスト、リターン、ロス。
全て私自身に跳ね返ってくるのだ。

これはキツイ意思決定だ。
この意思決定の結果得られる利益(損失)は未確定であり、給料のように、会社側に優先弁済するべき義務があるものではない。

その意味で勤め人は楽。
最後は上司に意思決定を丸投げすればいいし、責任も上司が取る。

つまり、勤め人的な取締役と言うのが、
最悪だと思う。
給料は天井が決まっているのに、
会社に対して負う義務が大きい。

とてもバカバカしい働き方だ。
そりゃあ数千万円貰えない限りはやってられない種類の勤め人なのだと私は思う。

つづく