私がそうだと言うわけでもないが。
不動産業界には優秀な投資家が多い。
サイン本をもらったふんどし王子、ポールさんなど、
若くして豊かに半引退を決めた人も多い。
そして、地方の投資家にそのような優秀な投資家が多い。
それはなぜか?
考えてみたい。
ちなみに私は岩手の田舎から東京の大学に進学して、
二流勤め人から出発した。
優秀な投資家というわけではなく、
40歳を過ぎても勤め人と中途半端な貸家業を営む半端者である。
私は優秀な投資家に該当しないことは言うまでもない。
投資家として安定的なリターンを出し、その利益の範囲で生活すると言う難しさ。
東京都の平均的な勤め人の給料は595万円である。
ここでは600万円とする。
この600万円の安定的なリターンを確保して、
元本を減らすことなく、生活していくために、
いくらの元本が必要であろうか?
当然リターンのパーセンテージが高ければ高い程、
必要な元本は少なくて済む。
仮に年間10%の安定的リターンを出せるのであれば、
必要な投資元本は6,000万円である。
20%なら3,000万円、30%ならば2,000万円となる。
そもそも2,000万円の貯金をして投資元本を確保するとしても。
毎年200万円を22歳から貯蓄したとしても10年かかる。
32歳である。
32歳までセコセコ貯金して、2,000万円を握りしめて、
30%のリターンを出せるような運用をする。
かなりあり得ない想定ではある。
30%のリターンを叩き出すような投資家が、
10年間も我慢できるはずはない。
200万円貯まった段階で、ボロ戸建を買い始めるとか、
株の先物取引などでハイリターンを狙って勝負し始めるだろう。
(そもそも30%というリターンが非現実的でもある。)
つまり、誰もが夢見る配当生活的な人生の最大の障害は、
「投資元本の確保」である。
要するに種銭(タネゼニ)である。
このタネゼニの確保こそが最大の障害であり、
優秀な勤め人が優秀な投資家になることができない要因でもある。
年収1,000万円を貰える=その投資家自身が1億円の価値を持つ。
私の勤め人年収が1,000万円だとする。
即ち、私が不動産で、10%の利回り物件だとすれば、
1億円の価値がある。
(厳密には定年60歳で価値がゼロになる償却資産であるが)
まあ少なくとも40歳で1,000万円だとして、
今後20年で2億円程度稼ぐ収益物件のようなものだ。
(利回り10%換算)
投資元本を貯めることは前述の通り難しい。
しかし、自分の人生を労働力として販売すれば、
1億円の投資元本に匹敵するリターンを得ることができる。
ここが罠である。
田舎で年収300万円の勤め人をしている人は、
投資元本の価値は3,000万円に過ぎない。
投資元本1億円の勤め人は、
投資元本1億円、リターンを安定的に10%出せる株式投資やら、
不動産を積み上げないと、労働力販売から抜けることができない。
一方投資元本300万円の勤め人は
投資元本で3,000万円のリターンを出せる程度の試算形成で、
労働力の販売から抜け出せることになる。
仮に40歳で5,000万円を貯めて、
さあ投資生活だ!となったとして、
年10%で運用できたとしよう。
働きに出れば1,000万円を稼げるのに、
500万円を得るために、会社をやめて、デイトレの日々を過ごす選択をする人は少ない。
いや、ほとんどいない。
おまけに投資はリターンが想定通りに出ない可能性も高ければ、
元本既存のリスクも格段に高い。
一方給料は安定して支給される(ように見える)。
若ければ若い程、投資元本の蓄積は少ないだろう。
1,000万円を必死こいて運用して、年間300万円のリターンを出せたとしても、
ソコソコの勤め人をやって、年収500万円もらったほうが確実だし、
実収入も多いのである。
つまり、「給与は、投資家になるよりもマシな程度にも設定されている」と言える。
ハイリスクな投資をして莫大な資産を形成する投資家は、
ほとんどが、フリーターのような若者か、専業主婦、引退した初老の老人である。
(その足元には無数の屍(しかばね)があることも忘れてはならない)
勤め人卒業を目指す勤め人にとって、
今、得ている給与の高さが、そのまま、卒業の難易度になってしまうという罠である。
私もこの罠にズッポリハマっている。
家と車は持っていないが、
子供、そしてその教育費をかけてしまう。
という罠にかかり、身を削って稼いだリターンが食い潰されており、
この莫大な教育費を賄うだけの収益力を出す、元本の確保に難儀しているのである。
罠だ!罠!
三流である私は、罠を回避できなかった。
罠であることも見抜けなかった。
高額のマイホームと住宅ローンという罠は見抜いた。
サービサーという延滞した住宅ローンの回収をしていたこと。
不動産という投資を主力にしたことで、見抜いた。
車という罠も見抜いた。
この罠はあからさまであり、
そもそも私が車に興味がないことであっさり見抜けた。
だが、教育費と言う罠には気づけなかった。
結婚は早くして子供を早く育て終えた方がいいという、
社会通念をそのまま飲み込んでしまった。
むしろ妻と二人で稼いだ方が早く遠くに行けるとも勘違いしてしまった。
妻は出産育児休暇で稼ぎが半分以下になるし、
育児で私の体力、精神力も削られる。
育児がひと段落して、手がかからなくなると、カネがかかる。
もう少し資産形成を優先して、資産収益だけで、生活、子育てができるレベルに
早期に到達するプランを立てるべきであった。
目先のダブルインカム(共働き)という安易な手段に飛びついて、
結局損をすることになってしまったというわけだ。
まとめ
勤め人はその給与を得る方が、投資リターンで生きるよりも、
絶妙に安全な水準に設定されたルールにハメられて生きている。
投資元本の確保という難しさによって、
勤め人を抜けられないという罠が敷かれている。
そんな話。
結局、子供は贅沢品で、お私立中学などに挑戦されると、
とんでもない固定費の増加要因になる。
お勉強のできる子は放っておいても公立から東大に行くだろうし、
お勉強が嫌いな子はそれなりの公立高校に進んで就職する。
そんな当たり前のプランをもちつつ、
子供は資産収益の範囲で育てる。
と決めて生きるのが良いと思う。
私?私はもう3人もできてしまったし、
長男がお私立に行ってしまったので、手遅れだ。
をはり