甲の薬は乙の毒

不動産全般の話

不動産投資界隈のみならず終わらない対立構造

持ち家か賃貸か?
地方か都市か?
木造かSRCか?
新築か中古か?

人は2者の対立構造が大好きだ。

武田信玄と上杉謙信
劉備と曹操など

竜虎の対立
運動会の白組紅組

しかしである。

1vs1のライバル対決なんてものは実は存在しない。

そもそも株式、不動産、事業、債券など投資対象は無限に存在する。
貴金属でも自動車でも「金を増やす」という観点から見れば
ビジネスの数だけ投資対象はあるのだ。

武田信玄と上杉謙信であっても、
彼らは二人だけで戦っていたわけでもない。
双方にとって時として同盟国になった
北条家や越中の一向一揆など、
1vs1の枠外にある要素が複雑に絡み合っている。
朝廷の権威や内応、幕府の意向など
考慮すべき要素も多かった。

人間の頭が単純なので、どうしても人気が出るコンテンツとは
誰でもわかりやすい構図となる。

不動産投資における対立も似たようなものである。
えてして投資の初心者ほど、熱心にその議論を見てしまいがちである。

そこで重要なのは甲の薬は乙の毒。という発想だ。

現預金3億円の老人と、現預金200万円の20代

地方か?首都圏か?
それは「誰が」投資をするのかによって変わる。
そもそも「地方」と言っても色々だ。

私の地元は人口5,000人の高齢社会である。
賃貸住宅という概念はほぼ、ない。
空家がいたるところにある。

一方多くの有名投資家が生まれた富山県。
ここはたった人口100万人足らずの小さな県であるが、
土地が安いのに家賃が高いという特殊な不動産マーケットを形成しているらしい。
(知らんけど)

たまたま、そこで生まれて大家業を目指した人が成功したのだ。
彼らが島根県で産まれ育っていたら、大家として成功していたとは思えない。
成功するマインドがあるので、何かしら成功したと思われるが、
大家ではないだろう。

人の問題、さらに土地の問題もある。

また、「時」の問題である。これも重要なファクターだ。
一時期一世を風靡した銀行からフルローンを借りて10%程度の大型中古SRCを買う
というヤツ。
メガバンクも融資を出していた時期があり、
多法人スキームなど、違法スレスレの手法も生まれた。
また、2008年頃の経済危機のタイミングで投資する準備ができていた人にとっては
まさに「ここだ!」というタイミングだっただろう。
あの時期に投資して成功した人が今の市況でも成功できたか?と、言われると難しい。
恐らく無理だ。

つまり人の問題、土地の問題、時の問題でる。

天地人なのだ。

投資は誰が、いつ、どうやるか?無限の組み合わせがある。

自己資金の有無、信用力(=借金力)、本業、居住地、家族構成など
それぞれの状況合った手法を選ぶことが重要だ。

私のような高給勤め人がスタートする場合、
激務なので、土日は身体を休めるべきだ。
体力おばけの若者であれば土日にDIYしてもいいだろうが、
40代の私には危険なやり方だ。

本業の勤め人だけで生きていけるのだし、
身体を壊してしまっては生活すらままならない。
大工仕事で大けがでもしたら、一家が路頭に迷う。

当然、外注リフォーム作戦を採用するべきだろう。
また、ローンが引けるのであれば一定の頭金を入れて適度なレバレッジを掛けて
規模を広げていくのが望ましい。

低給与で激務なら、不動産なんかやっている場合ではなくて、
まずは低給与でもホワイト企業に転職することから始めなければならない。
その上で副業で種銭(タネゼニ)を構築して、それをベースに戸建+セルフリフォームで
1つ、1つ物件を増やすしかない。

キャッシュ3億円持ちの老人であれば、
1円でも多く子孫に残すために相続税評価を下げられる都心のマンションが一番だろう。
相続人は相続後に売って換金しやすい。

また、事業で成功した人は、戸建投資で1,000万円、2,000万円とチマチマやっていても仕方がないので、面倒がない都心の低利回りの物件でも買うだろう。

要するに人それぞれの立場、資金力で違うのだから、
〇〇と〇〇どっちがいいか?
というクダラナイ議論には参加しない方が良いのだ。

転勤族なのに、持ち家が有利だ!と言って、
転勤先の大阪で家を買ったら、2年後に仙台に転勤になる。
転勤族か、転勤がない仕事なのか。
この要素を除外して対決するのは無意味を超えてアホだ。

すなわち甲の薬は乙の毒である。

私が想定するのは大卒、ゼロからスタート、勤め人

まさに若き日の私である。
そんな人に向けてXとブログを書いている。
(逆に自分が経験していないことを想像で書いてもしょうがない。)

実際私がアドバイスした人の中には
私の10倍の資産規模に拡大していった人もいる
そもそも私が何を言うまでもなく、
勝手にそうなったのだとは思うが。

そんな人が一人でも増えたら良いし、
私の息子達も道に迷ったとき、私の生き方が解決の一助になってくれれば嬉しい。

今の市場であれば、
親からの資金支援がない勤め人がやるべき戦法は
地方、戸建投資がベストだと思う。

給与の低い人は築古+セルフ修繕
給与が高い人は中古+外注修繕

ここでまず1軒買って、不動産の探索→価格交渉→購入手続→修繕→賃貸付け→家賃回収
一連の流れを経験するのが良い。
アパートから始めても良いのだが、
アパートの売主は投資家であるから、
目線がどうしても投資家目線である。

一方一軒家は素人が売り出す。
投げ売りも多く、再現性のないプライスも期待できるし、
地方であればタダ同然もあり得る。

都市部の勤め人はその意味では不利ではある。
転勤族も猶更不利だろう。
転勤族には大家業はお勧めしない。

そんなわけで、私の1,000円コンサルでも、自分の家の近所の戸建投資からのスタートを
お勧めしている次第である。
出口戦略など考える必要はない。
出口戦略を考えるのは不動産屋の発想である。
我々は不動産屋ではなく、
地主的な発想で大家業に向き合うべきなのだ。

なぜなら、不動産屋は1年365日不動産市場に引っ付いている。
情報力も半端ではない。
そんな連中に本業が違う勤め人が太刀打ちできるわけがない。
買い負けるに決まっているのだ。

不動産屋はいつも出口ばかり考えている。
(ただし、いつもカネがない。)
だから10年20年後に接道するチャンスがあるかもしれない物件
そんなものはゴミだといわんばかりの値段をつけるのである。
しかし、
私は2件も接道していない物件が接道したケースを経験している。
待てない不動産屋が安値で捨てたら、
それを拾って待つ。
そして彼らが捨てた収益機会を拾うのである。
不動産屋の目的はいつでもキャピタルゲインと仲介手数料なのだ。

家賃収入なんて遅いと思っている。
(まあその割に不動産屋に本当の金持ちが少ない)

とはいえ、不動産屋もバカではないので、再建築不可でも
高いプライスを付けて出したりする。
そんな価格を見たら、1年くらい放置して晒し物にしてしまおう。

この業界では、シェアハウスのようなク〇物件を8%程度で
家賃保証してさんざん素人に売りつけて計画倒産するようなクズが
山ほどいる。

油断しているとケツの毛まで抜かれて、犯罪者にさせられる。
(まともな不動産屋の方が多いはもちろんだが)

油断せず、強いヤツと戦わないフィールドを見つけて、
コツコツやっていくのが一番だ。

最近、いい時期に買っていた投資家が、
たまたま売却益が出たからと言って調子に乗っているが、
それはタマタマである。
売却益は悪魔との契約のようなもので、1回やってしまうと
不動産屋のような思考回路が入ってきて危ない。
女性が風俗で稼ぐことを覚えてカタギの仕事ができなくなるようなものだ。

手堅くやっていこう。

をはり