起業するから勤め先を退職するという選択
究極の選択がみんな好きだ。
何でもかんでも二者択一にハメてしまい、
選択肢をなくしてしまっている。
やるかやらないか?
右か左か?
のるかそるか?
ナンセンスだ。
世界は多様性で満ち満ちている。
男か女かという選択肢ですら、
無限のバリエーションがある。
そんな中で、
とある友人が
「起業する」
という。
起業するから勤め人を卒業するというのだ。
しかしだな。
話を聞いていると、
勤め先はオーナー企業である。
大企業であれば、卒業するしかないかもしれないがね。
オーナー企業が相手で、
その友人がオーナー社長から信用を得ている。
そして独立起業するビジネスが、
今の勤め先と正面衝突するビジネスかというとそうではない。
周辺ビジネスである。
まあ具体的に言ってしまうと、
投資ファンドで勤務していて、
事業計画を作ったりM&Aのコンサルティングをする分野で起業するというのだ。
例えば不動産売買の勤め人が、
勤め先があまり力を入れていない「管理」の分野で起業するとしたら。
私から見ると、他にも選択肢は多数。ある。
オーナー社長に49%出資してもらうという作戦である。
勤め先の子会社として独立するパターンだ。
野望があれば、株を持たれるのは嫌だということになるが、
オーナー社長がいい人であれば49%までは持ってもらってもいいと思う。
勤め先から仕事を貰う形で独立起業するという選択肢もあるのだ。
勤め先の社長としてもいい話だ
不動産売買を主業とする勤め先から、
管理部門を作るという形で独立する。
投資会社からコンサルティング、FA部門として分社・独立する。
勤め先の顧客を奪って独立するなどは、
「絶対やめた方がいい」
のであるが、
勤め先といい関係を維持しながら独立するのであれば、
出資を得て独立するのはいい。
勤め先の信用・取引先を取り込んで自分の商売ができるのだし、
オフィスも間借りできるかもしれない。
信用できる専門家(弁護士、司法書士、税理士、社労士)も
使わせてもらえるだろう。
敵対的に起業するパターンだと、専門家たちも同僚も距離を置かざるを得ない。
それは得策とは言えない。
私であれば、不動産部門として独立して、
不良債権の担保処理を扱う不動産会社として、
3割程度出資してもらい、不動産の査定やら、現地調査、買取、仲介などをやる。
という起業もあろうと思う。
勤め先の周辺業務を受注しつつ、
本業の大家業は大家業で拡大していく。
そんな方法もないわけではない。
要は勤め先にも義理が立つような独立の仕方もあるということだ。
出資分は当然、2倍3倍にして将来返すことにはなるのだが、
それは当然だ。
全部自分が総取りしたい!
という気持ちも分かるが、
出資してもらった分、自分が早く、多く稼がせてもらえるのであれば、
リターンを払って、勤め先のリソースを使わせてもらえた方がいいに決まってる。
勤め先の社長にとってもいい話にできるかどうかは、
それまでの友人の勤め人としての生き方次第だが。
高給勤め人は勤め先にとっても重い負担だ
私もそうだが、40過ぎの高給勤め人は負担である。
勤め先にとっても重い。
20代が3人採用できるだけの支払い負担になる。
この年代の勤め人を雇うよりも、
取引先として独立してもらえれば、
「全額経費」になる。
社会保険料は純然たるコストだが、
取引先としてコストを払うと「課税仕入れ」つまり、
消費税も減るのだ。
高い正社員をカットして、
コストコントロールがしやすい取引先にスイッチする。
さらに実質的には社員と同じような忠誠心、業務レベルを持つ取引先になり、
さらには出資しているから、リターンも期待できる。
高給勤め人の出口、
個人的には「社内起業で独立して、徐々に独立性を強めていく」
そんな方法は「アリ」だと思う。
強欲なオーナー社長だと、過半数の株を取られたり、
実質的には勤め人と同じように使い捨てにされてしまうが、
いいオーナー社長であれば、
独立する元社員にもウマ味を残してくれるものだ。
友人の場合にはそうではないとのことなので、
それは残念だが、それにしても、無断で独立するよりは、
独立後も仕事がもらえるような関係性が作れるならそうした方がいい。
まとめ
友人の相談(飲み話)ではあったが、
話をしてみたら、自分の思考の整理にもなった。
勤め先としても今の私の給与を55歳まで支払うのはさぞキツイと思う。
特に私は仕事を選ぶ。
(選んでいるつもりはないが、苦手分野はどうしてもできんからやむなし)
「コイツ切れば若手3人雇えるからそっちの方がいいな」
と、思われたらオシマイだ。
大企業であればしがみつくというコマンドもあり得るが、
私の場合には中小企業だ。
一部確かに、しがみつく、コマンドを発動している人もいないでもないが、
それは私の生き方というか人生観に反する。
勤め先のお荷物になってまで「しがみつく」のは嫌だ。
私もある程度自分の能力の不足を感じた段階で、
勤め先にメリットがある形での「半独立」を志向したいと思う。
それがどの分野なのか?
この歳になればそれは既に分かっている。
経営層には上がっていけないことは自分で分かっているので、
自分の出口は自分で作りたい。
3割くらい出資してもらって、
リターンを出しながら業務をやり、
今の勤め先の社長が引退するタイミングで
株を買い戻して卒業するのがいい流れかなと思う。
つづく