円が安い=給料が相対的に減っている?

資本主義の分析

私たちは日本から出ることができない。

1ドル=100円から
1ドル=135円になった。(2022年6月時点)

つまり、これは私達の給料が世界標準(ドルだけど)からして、
3割程度目減りしたということなのだろうか。

ここで投資を煽る人はこう言うだろう。
「円の価値が減っている。海外資産への投資をしてリスクをヘッジしよう」
バリキャリを煽る人達はこういうだろう。
「円ベースで給料をもらうのは3割損をする。勉強して外資で働こう」
いずれの主張も一見正しく見える。

しかし、よく考えて欲しい。
ドルベースの資金を持ったところで、
その資金は何かあった時に使うことができない。
キャッシュフローもドルベースなので、
必要な時は円に変えなければならない。
その時の為替相場は果たして投資時よりも有利なのだろうか?

そう、資産云々を言っていいのは、
「余剰資金」であることが前提なのだ。
勤め人一本で家族、住宅ローンまで抱えている人間に
余剰資金はない。
ハシタ金をドルにしたところで100万円が130万円になるかどうかの話に過ぎない。
誤差である。
やめた方が良い。

バリキャリの主張に関しては言うまでもない。
海外で働けるような人材はほとんどいない。

私達は日本に生まれ、日本語しか理解できず、日本で生活するしかないのだ。
まずこの前提に立てば、為替がどうだと言って慌てる必要はないのだ。
くだらない主張に振り回される必要はない。

日本の不動産一本槍でいい

私が提唱する、勤め人大家という人生は
楽勝を提唱しているように見えて実はそう甘くはない。

大家という副業をやるにあたってには大前提がある。
それは、
「勤め先企業の仕事を容易にこなせるだけの経験を積むこと」である。
通常8時間かかる仕事を3時間で終わらせて、
残りの5時間は大家として行動できるようにすること。
とも言い換えることができる。
最も重要なことは、
100を求められている仕事は110か120で終わらせるということ。
150や200を決してやってはいけないということである。

これは勤め人にフルコミットしている人間との競争から降りることである。
降りると言っても、100求められることに100以上で応えるのだから、
けして楽なことではない。

しかし、これができないうちに大家をやってしまうと、
「アイツは仕事をしないで何かやっている」
と白い目で見られてしまい、動きにくくなる。
最悪の場合、変な部署に異動させられたり、退職勧奨を受けることになりかねない。

そもそも100求められるの100の内容も重要だ。
バリバリの営業系の仕事(新規開拓、それも業界の商品で差がない商品を売る仕事)
などは論外だ。
100の内容がハードすぎる。
具体的には銀行、保険、不動産仲介である。
受け身の営業スタイルならまた違う。
非常に重要であり、なおかつ選択が難しいのでこの点はいくら論じても
論じ尽きるということはない。
とにかく、収益性が高く、勤め先が持っている商品自体に競争力があることが望ましい。
また、自分にとってはホワイトだが、多数派にとってはブラックという仕事もある。
ホワイトかどうかは主観的なのである。
(例:私にとっての借金取りの仕事)

話が大分それてしまったので、戻す。

とにかく勤め人大家と言うのは甘い道でもない。
勤め人一本で突き抜けたり、
大家だけで勝負するよりは楽だが、
それでも常人より多くの金銭を稼ぐわけだから、
甘くはないのだ。

そんな甘くはない道を歩んでいく上で、
為替相場なんか見ている暇はないのである。
勤め人の仕事だって忙しいのだ。
それに加えて不動産を足しただけで十分だし、むしろそれ以上は望むべきでない。

不動産はレバをかけないと(借金をしないと)意味がない。

不動産投資の最終的なリターンはせいぜい7%である。
(出口の物件売却まで含めると)
その程度取れれば御の字である。

これを自己資金だけでやるとなると、
正直いってあまり効率が良くない。
高配当銘柄を買って行く株式投資と大差ないと思う。

借入を使わないといけない。

簡単に言うと。

自己資金1000万円で10%の収益物件を買う場合。
自己資金1000万円に9000万円の借入(金利3%)で8%の収益物件を買う場合。
2つを比較してみる。

① 自己資金のみの場合では単純に年間100万円の収益。

② 借入を併用して1億円(8%)の物件の場合には年間800万円の収益。

しかし借入の金利負担があるから、
9000万円×3%=270万円の利払負担となる。
よって収益は800万円ー270万円=530万円である。

同じ自己資金1000万円なのに、
自己資金のみでは、10%の収益。
借入を併用したら利回り53%である。

このように、
不動産投資をするなら借入も併用しない事には、
面白くもなんともない。
(私は安全性を重視して、借入は総資産の50%程度に抑えている)

30%以上の自己資金利回りを「安定的に」出せる投資は世界中探しても
不動産しかない。
だったらよそ見しないで不動産に注力した方がいいのだ。

さらに外国語が出来たとして、
私達日本人にカネを貸してくれるのは
「日本の金融機関」しかないのだ。
為替相場を見る前に自分の与信力を見直す方が大事だ。

第一、私たちは日本円で生活をしている。
家賃収入は日本円で入ってくる。
生活の足しになるのは円だけである。

ドルを税務署に持って行っても受け取ってはくれないのだ。
ドルで儲けて円がないからと言って税務署は帰ってくれない。
ドルを換金して納税するしかない。

ただでさえ頭が良い方ではない私達にとって、
余計なことをする脳のリソースはないのだ!

ホワイト勤め人と大家業だけやってろってことだ。
円だけ見てればよい。

つづく