2024年1月4日(木)

日々雑感

新年から災害&事故が発生した出足となった。
そんな中年末に被災地のアセットを売却した私は「勤め人の神様」がついているようだ。
まさに売り逃げ。

2月に売却を予定していた、他の担当者の被災地の案件は被害を受けており、
売却価格の下落は避けられない見通しである。
それも運命。

勤め人の神様は私に「勤め人を続けなさい」と言っているようだ。

さて、

私の勤め人仕事は「企業再生」である。
この企業再生という言葉であるが、
「誰が?」という主語をどこに置くかで意味が全く違ってくる。

(1)オーナー経営者という立場であれば、
自分の企業が傾いたので立て直す。という意味になる。

(2)スポンサー(株式取得)という立場であれば、
これには救済合併というニュアンスが含まれるものの、
オーナー経営者の交代ということ以外は同じだ。

上記2つは株主としての企業再生であり、
スポンサーという立場で買う場合には「投資」的なニュアンスが強くなる。
安く買って再生して高く設けるという意味で、
ガラボロ物件を再生する不動産大家と同じだ。

(3)さらにコンサル屋という立場での再生もある。
これは非常に都合のいい立場であり、
苦境に陥った企業を再生するアドバイスするから、手数料ください。
ってヤツだ。
立ち直ろうが、潰れようが、手数料を取る。
コンサルが真摯に再生に手を差し伸べる相手なのか?
死肉をあさるハゲタカかカラスの類なのか?
その主体の意思によって大いに結論が異なる。
まあ9割はハゲタカだと思って間違いない。

(4)もう1つ「債権者」としての再生がある。
これの意味するところは「債権回収」である。
1円でも高く回収するための再生なのだ。
融資競争で斜陽産業にバカみたいに貸して、
返せなくなったら金利だけもらって放置するのが金融機関だ。
債権カットまで踏み込んで支援する気はさらさらない。

体力のある銀行だけが、債権放棄まで含めた支援を行うことができる。
ただし、「債権回収」という観点からすると、
債権カットなどしない方がいいに決まっている。
利息だけもらって放置して、潰れたら破産の配当を貰って終わり。
これが一番手間がかからず、回収も最大化できる。

私の勤め人としての再生とは(4)債権者としての再生である。

最後の最後に、
(5)政府としての「再生」があるのだ。
経済産業省が管轄する中小企業庁。
ここだけは特殊な動きをする。
「企業の存続」とそれによって維持される「雇用」を守る動きをする。
(5)が介入することによって(4)の金融機関に対して、「再生」を促すのである。
その結果として、「金融庁」も協力する。
この(5)政府だけが、「経済合理性」を超えた動きをするのである。
考えてみれば当たり前の話だ。
「完全資本主義」の立場からは否定されるこの政府の動きが、実は最も経済合理性があるのである。

分かりやすい例を出すと、
「JAL」である。
再生請負人の「故稲盛さん」を投入して、金融機関に債権放棄をさせた。
その結果JALは立ち直った。
政府が介入しなければ間違いなく、JALは法的整理となって、
ANAの1強となっていたか、
外資系になっていただろう。

逆に「バブル崩壊」の時は「資本主義の論理」で外資系金融に日本人の債権が食い荒らされた。おまけに外資系金融は国外でのみ納税義務を負い、日本で食い荒らした利益を全く納税しなかった。

まあ、当時その外資の手先として同じ日本人からさんざん債権を回収して、
せっせと外資系金融に上納していたのが若かりし頃の私の勤め人なのだ。

まさに植民地状態だった。
リーマンショックの時はアメリカ政府が公的資金で救済したし、
JALも政府が救済した。
バブル崩壊時だけ、政府は外資の草刈り場になる方針を貫いたのである。

自己責任というヤツだ。
自己責任の名のもとに外資金融が日本をさんざんに食い物にしたのである。
米系金融はもちろん、ドイツ、フランスの金融機関まで参入してきた。
さぞうまい汁をすすったことだろう。
それはさておき。

何をいいたいかというと、
私の勤め人仕事は再生なのだが、
ちょうど(4)と(5)をカバーする仕事なのである。

私が思うに、この仕事は永遠になくならない。

なぜならば、資本主義とは「借金」のやり取りなのである。
資本主義である限りは、借金は永遠になくならない。
誰かの赤字は誰かの黒字であり、
赤字は「借り入れ」によって補填されるからである。

このメカニズムがある限り「金融」は絶対になくならないし、
「不良債権」は絶対に生まれる。
そして、日本人は「不良債権」に対して心的嫌悪感があり、
一流の人間はこの世界にはあまり入ってこない。

資本主義の花形は「法人営業部」なのであって「融資管理部」ではないのだ。
この「融資管理部」的な仕事は、優秀な人間が入ってこないので、
勤め人としては「出世しないけど楽な世界」になるのだ。

まさにヤコバシ先生が言うところの「化学メーカーの営業」である。
業界全体では化学メーカーがそこなのかもしれないが
金融業界で言うと「再生・回収」の世界は生存競争がない。
一定の能力は必要だが、緩いのだ。

(まとめ)
政府は緊縮財政で経済を冷やしながら、
中小企業を守るという「マッチポンプ(自作自演)」を繰り返すフェーズに入っており、
この流れはあと10年は変化しない。
不景気を作り出しておきながら、不景気によって苦境に陥った事業を助けなければならない。悪循環を30年やっている。
よって、私のような勤め人仕事は当面継続可能である。

そして、金融業界における再生部門はゆるふわホワイト職場として
スイートスポットである。
そんな話だ。

銀行で投資信託を売らされている皆さんは、
融資管理という定年待ちのようなおっさんが集まっている部署に
手を挙げて異動するといい。
65歳まで働くことができるだろう。
その間に貸家でも買いながら、ゆっくり戦略を建て直せばいい。

ここまで書くと狭い業界なので、
私が特定される危険がある。
それであえて日記の中に隠した次第である。

特殊な検索をしないとここにはたどり着かないと思うが、
是非たどり着いて、興味があったら、私に連絡してもいい。

をはり