米不足と長期国債の金利

資本主義の分析

米農家の俺に言わせるとだな

米が高いからと言って米作りをスタートするのは辞めておいた方が良い。
なぜならば、日本の農業に対する政策は「無視」だからである。

欧米の農業に対する向き合い方とは全く別だ。
そもそも日本は、歴史的に農業を保護するという政策を取ったことがないのだ。

例外中の例外が、武田信玄である。
信玄堤で灌漑を行った。
ただ、これは治水政策という意味が大きい。
積極的に農業を奨励するということは、あまり、ないのだ。

それでも日本人は農民が勤勉だから、一生懸命耕作する。
ろくに支援もないのに、国民が喰う総量の2倍も生産するようになってしまったものだから、
政府が、減反政策を取って、生産量を規制すると言う狂った政策になる。

普通の国家であれば、政府が買い上げるなり、
海外に売るなり、する。
それは戦争の歴史を持つ欧米ならではの発想である。

戦争が起きたら、食料不足が発生する。
当たり前だ。
戦場の兵士もメシを食うのだ。
また農家の息子が兵隊に駆り出されるから、農作業の担い手も減る。
そうなると穀物が不足する。
戦時に必要量が200になるのに、平時に100の生産量しかなかったら、
当然、戦争はできない。
平時に300生産できるようにしておくのだ。
それで200は政府が買い上げて、外国に売るなり、家畜のえさとして加工するなりして、
活用する。まあ、個人的には、政府が買い上げた上に捨ててしまっても問題ないのだが。

日本人のメンタリティでは捨てると言うのは出来ないだろう。

そうやって、生産能力過剰状態にしておくのは、
むしろ国防である。
今、日本の食料自給率は30%とも言われている。
つまり、日本に対して食料を輸出している国が日本を占領するのに、
軍事力は不要である。
単に食料の輸出を止めればいいのである。
それで日本は敗戦である。

欧米では、農家に対して所得補償をする。
その上で、過剰に生産をさせて、国家が穀物を接収して、
日本などに売りつけたり、家畜のえさとして加工する(それも日本に売る)。

欧米の農家は「公務員」なのである。
そしてそれに必要な予算は驚くほど、安い。
日本でもできないことはないのである。

米の生産量を減らしてきたので、投機の対象になった。

2025年現在、コメの価格が高騰している。
備蓄米とやらを放出しても下がらない。
それを政府のせいだとかJAのせいだとか言っているが、
まあ、それは半分正解である。

半分というのは、政府やJAが意図的に供給しないのではない。
ということである。
政府やJAがどう頑張っても解決不能なのである。

そもそも「タマがない」状態になっているのである。
生産力を落とす(減反政策)という政策はうまくいったよ。確かに。
農家は70代の高齢者ばかりになった。
農機具は高い。

私のオヤジなどは、サラリーマン時代に貯蓄したカネで農機具や肥料を買って、
農家をやっている。
赤字事業である。
農業でいくら頑張っても、金持ちにはなれんのである。

それでも米を作ってきたが、
もう限界だろう。
実家に帰った兄貴は農家では食っていけない。
恐らく田は耕作放棄されるだろう。

今後、ますます国産米は手に入らなくなっていく。
そうなれば、これは投機の対象になるのだ。

従来であれば、大量のコメが市場に流通していたので、
半端なカネでは相場を動かすことができなかった。
何しろ、毎年大量の新米が供給されるのであるから、
買い占めたとしても、値段が上がらないのである。

例えるなら空気を投資対象にできないのと同じだ。
しかし、空気の量が減ったら、間違いなく買いが殺到するだろう。
そういうことだ。

金もそうだろう。
金は人工的に生み出すことが出来ないから、
価格が上がり続ける。
何しろ、カネいくらでも作れるのだが、
金(ゴールド)はそうではない。

つまりコメ、特に国産米がそのステージに入ったと言うことだ。

当然政府は、生産力増強に舵を切るべきなのだが、
そうはならん。
なぜなら財務省が農家の所得補償なんて、固定費が増える政策を許容するわけがないからだ。
当然、より、カネがかからない方法を採用する。
それはアメリカ、東南アジアからのコメ輸出拡大である。

そうなったら、価格は間違いなく、下がる。
日本のコメ農家はほとんど死滅するだろう。
高級食品になる。

日本円でも同じことが、あっただろう?

日本の国債発行残高が多すぎるというので、
特に外資系の投資銀行が、日本国債の売り攻撃をしかけたことがある。

ジョージ・ソロスがイギリスの中央銀行を攻め落としたという話があるが、
日本銀行に対しても何度か、その試みは行われた。
しかし、結果はどうなっただろうか?

日本国債の売りを仕掛けた側が破綻していったのである。
なぜならば、日本銀行が無尽蔵に買う。
国債を空売りするということは、
国債の値下がりに賭けるということなのだ。
(金利はあがる)

しかし、日本銀行は市場に存在する国債を理論上、
全て買いつくすことができる。
なぜなら日本銀行券を発行できるからだ。
そんな相手にケンカを売っても勝てるわけがないのだが、
多分頭があまりよくないのだと思う。

外資系投資銀行でも皆が皆、賢いわけではない。
そうやって死屍累々を繰り返している。

よく似ているだろう。
有り余るタマ(コメ)がある状態では、市場と戦っても勝てない。

有り余るタマ(カネ)がある相手(日銀)に空売りしても、勝てない。

消費量>生産量となってきたら、
勝機がある。
コメが投機の対象になったというだけの話だ。
もともと市場には目鼻の利く投機家がたくさんいる。

需給バランスの乱れを的確についてくる。
NintendoSwitchでさえ、転売ヤーが大量に湧いてくるだろう。

つまりそういうことだ。
政府もJAもコントロール可能な水準を超えたということだ。
そもそもコメが本当にないのだ。
ないものを供給することはできない。

実際大手外食チェーンなどは、
農家に直接買い付けに動いている。
タマがないと分かれば、
買い占めに走るのは当然だろう。

もう無理なのだ。
しかし、このような状態にするために減反政策をやってきたのだろう?
農家は自民党を支持してきたが、
その見返りは何もなかった。

あれだな、
押し活みたいなもんで全て支払ったが、なんの見返りもない。
ってヤツだ。
女にカネを出すようなものだ。
せっせと貢いだら、他のヤリチンに貢がれたみたいなものだろう。

その結果が、日本人放置、外国人優遇政策である。
ひどい国家になったものだ。
それも全て、有権者の行動が悪かったのだ。

をはり