なぜ人気の職業に就いてはいけないのか?
今はそうでもないのだが、
私が就職するタイミング(2002年4月入社)の人気ランキングを見る。

JTBが1位だと?
旅行代理店である。
アホではないか?
ソニー、トヨタはまあ、いいとして、
JAL、資生堂、ANA、ドコモ、サントリー、銀行、マスゴミ。
まあ、バカバカしい企業が名を連ねている。
人気の就職先というのは、
誰もが知っている企業である。
このような企業には確かに優秀な勤め人が集まるのだが、
それは企業にとってはいいことだ。
しかし、勤め人1人1人にとっては、
全くいいことではない。
「お前の代わりなどいくらでもいる」
と、言われているようなものである。
企業を選択する基準は、
市場シェアが圧倒的で、営業利益率が高い。
更に知名度が低ければ低いほど良い。
つまりBtoB企業である。
最近は幸せ過ぎて情報発信をしていないのかもしれんが、
ヤコバシ先生の著書に詳しい。
要するに競争を避けるのだ。
人気企業には優秀な人間が集まる。
優秀な人間同士で競争をさせられると苦しいのだ。
井上尚弥と殴り合うのか?
女子中学生と殴り合うのか?
どちらかを選べと言われて、
皆が井上尚弥との対戦を希望しているようなものだ。
愚哉。
私も大いに間違えた
私の失敗その1は、東京の大学を選んだことだ。
東大は入学拒否されたが、私立のソコソコ有名な大学に入った。
今思えば、東北から出ずに、東北大に入っておけばよかった。
東北のソコソコの企業に潜り込んで仙台周辺に留まって、
勤め人+大家を回せばよかったのだが、
東京への憧れと、自分の可能性を試したいという気持ちには抗しきれなかった。
次の失敗、その2は司法試験である。
結局失敗するのだが、文系最難関試験に挑むという失敗をしでかした。
前述の戦略の真逆を進んでしまった。
さらなる失敗その3、金融業界を選んだことである。
説明した通りである。
そこでサラ金の子会社に入ったのは、実は大正解なのだが、
私は嫌になって、投資用不動産販売会社に転職する。
これが失敗その4だ。
そしてまた金融業界に戻る。
そこで債権回収という、金融業界の窓際族が集まる場所にポジションを置いたのは、
正解だった。
しかし、当時は不良債権に外資系、ハゲタカどもが群がっていたので、
脚光を浴びる業界だった。
その意味では半分成功だが、半分は失敗だ。
実は失敗その5
今の勤め先に転職したことである。
確かに給与は増えたが、
不動産を増やすよりも労働に必死になり過ぎた…。
公的資金をいつまでも返済しないダメ銀行の子会社でヘラヘラやっておくのが良かった。
その意味で、ダメ銀行の子会社で頑張ったのが失敗の始まりだ。
コイツ!できる!
と、思われて最前線に送られて、嫌になって今の会社に転職したのだ。
結局勤め人で目覚ましい成果を上げることは、
労働者を全く幸せにしない。
昇進、昇給、賞賛。
それは勤め先を辞めた時、何も残らない。
跡形もない。
人間関係すら残らない。
本当にキレイサッパリなくなるのだ。
消えてなくなるものに命を削って働いているのだ。
さて、消えて無くなっていないとしてもだ。
それは資本家の純資産に蓄積されている。
その会社が純資産がマイナスだとしたら、
それを奪った企業の純資産に蓄積されている。
その意味では、大企業の莫大な資産は、
労働者の血と汗と命そのものである。
私が今、残っている!と言い切れるのは、
家族と、不動産だけだ。
勤め人1本で貯蓄すらしてこなかった人は、
無である。
勤め人は消えてなくなるモノに命を賭けているのだ。
1円でも浮かせて、貸家を買うべきだ。
弱いヤツを叩き続けるのだ
勤め人としては、
自分の能力、得意分野が生きる場所で、
自分より能力が低く、不得意としている相手が多い業界を選ぶ。
独占企業が良い。
特に仕入するならこの会社しかない。
というような企業の営業マンになると最高だ。
トヨタも確かに世界最強ではあるが、
世界市場で戦っているから、キツイ。
そういうことじゃない。
生命保険の営業なんて最悪だ。
どこで買っても同じものを競って売る。
これほどキツイことはない。
まずはこれだ。
この分野の勤め人に潜り込んで、働き、
労働力を温存して、楽な部署に潜伏し続ける。
そして貸家を買うんだ。
決して花形部署に行こうなんて思わないことだ。
そして、貸家でもなんでもいいが、
強いヤツがゴロゴロしている場所で不動産をしたらダメだ。
競争が少ないが、賃貸市場が成立している。
そんな場所がいい。
富山県で若くして成功している投資家が増えているが、
彼らが東京にいたら、同じことはできなかったはずだ。
そんなマーケットを探して、そこに集中投資していく。
富山県の投資家も決して富山県を出ない。
出たら負けることを知っているからだ。
自分が勝てる市場を見つけて、
弱い相手(つまり実需で買った個人の家)から、
安く買い叩いて集めるのである。
私は残念ながら東京で不動産を始めて、
千葉に徐々に戦線を後退させているが、
買っている物件で高利回りなものは、
全て元が個人の売主だ。
不動産屋に「再建築不可なので値段が付きませんよ」
と、言われて素直に数千万で買った家を
1千万以下で手放すような個人である。
そんな人から安く買いあげて、
さらに情報力が弱い、生活保護受給者、
低所得者にアパート並みの家賃で家を貸すのだ。
買う相手は→自分より頭が悪い、経済的弱者
貸す相手も→自分より頭が悪い、経済的弱者
これが勝ち続けるポイントだ。
どうしてもアパートを買おうとすると
売主が投資家となる。
それも出口としてリターンがある程度確定させるべく
売り出している相手だ。
自分より上手(うわて)の経済的強者の可能性がある相手だ。
これは分が悪い。
ひょっとしたら、隠れたる瑕疵(読めない人は勉強が足りない)がある物件かもしれない。
貸す相手が企業である、商業物件の場合、
貸す相手も商売人だ。
リフォームなり、修繕なり、ビシビシ要求してくるだろう。
家賃への指値も当然やってくる。
法的知識も豊富で、怠慢があれば訴訟も仕掛けてくる相手だ。
貸す相手としてはめんどくさい。(いい意味で)
弱い相手と戦う、戦い続けるのが生存の肝だ。
ライオンは命を賭けてサイや象とは戦わない。
鹿系の反撃のおそれが低い相手と戦い続けている。
武田信玄の版図拡大
有名な武田信玄。
彼ほど、弱い相手だけと戦った戦国大名もおるまい。
甲斐は三方を敵に囲まれているが、
駿河は今川、相模、武蔵は北条という強大な大名がいた。
当然、中小豪族の寄せ集めである信濃を併呑する。
更に越後を見れば上杉謙信だ。
当然上野を目指すが、ここには長野業正が居て撃退される。
長野業正が死ぬのを待って、息子を殺して上野を併呑する。
上杉謙信とは戦わず、高坂弾正昌信を置いて現状維持。
飛騨が弱いと見れば山県昌景を派兵。
桶狭間で今川義元が死ぬと、駿河を奪取した。
甲府、信濃、上野、駿河の四カ国を領有して
十分に力を蓄えたところで、満を持して徳川に侵攻である。
織田と連合してもおそらく武田信玄があと10年長生きしたら、
勝てなかっただろう。
信長は本願寺、毛利、荒木村重の謀反、松永久秀の謀反、
長島一向一揆など内外に敵を抱えていたのである。
仮に。武田勝頼が、武田信玄のような重厚な後継者であれば、
武田幕府が誕生していたことだろう。
そういうことである。
強い相手とは徹底して戦わない。
自分より弱い相手をコツコツと叩く。
天下を取ると言うのはそういうことだ。
信長も乾坤一擲のような野戦は、
桶狭間以降、ただの1度も行っていない。
金ヶ崎城攻めも、浅井の謀反を知って、すぐに撤退。
武田信玄に東美濃を奪われた時も、反撃せず、
岐阜を捨てる覚悟すらしていた。
毛利水軍には1度完敗。
北陸でも上杉謙信に鎧袖一触で敗れた。
播磨平定も苦難の連続である。
長島城攻めでも肉親を失う程やられまくっている。
しかしだ。
壊滅的な損害を受けるような敗戦が見当たらない。
壊滅的損害の有名なヤツは
〇桶狭間の戦い
〇厳島の戦い
〇川越夜戦
3大奇襲戦というヤツ。そのほかには
〇長篠の戦い
〇耳川の戦い
〇沖田畷の戦い
〇姉川の戦い
〇摺上原の戦い
などがある。
これらは、敗北した側が滅亡するような戦闘である。
実は川中島の戦いも上杉、武田双方に甚大な損害が出たという意味ではどちらも負けである。
イチかバチかの戦いは極力避けるべきだ。
ただ、どうしてもやらないとイカんヤツもある。
秀吉で言えば山崎の戦いであろうし、
信長で言えば桶狭間の戦い。
家康公で言えば、小牧・長久手と関ケ原。
負けるにしても、力を温存しておく。
これが重要である。
その意味で、長篠、耳川、沖田畷、姉川、摺上原で負けた側は
いずれも後世の評価が低い。
要するに負けないように負けないようにするということだ。
イチかバチかをやらざるを得ない時にはだな。
関ケ原の前の家康公のように事前の調略を綿密にやっておく。
その上でやるのである。
をはり