オラ強ええヤツと戦わねえぞ。

資本主義の分析

一流大学には神童が結集す

どの分野でも言えることであるが、
上には上がいて、勝利を維持し続けることは不可能と言ってよい。

野球でも〇〇県の天才ピッチャーと言われていたとしても、
全国大会では1回戦で滅多打ちにされる。
仮に甲子園で優勝しても、
プロに入って二軍のまま、誰からも忘れられてグローブを置く投手も多いだろう。

脚光を浴びるスターの足元には何千という敗者の屍(しかばね)が埋まっているのである。
当然
「努力は報われないのが普通」
である。
とはいえ、「無駄な努力」もない。
とは思う。

当然お勉強の世界でも、
より評価と報酬の高い勤め人選抜競争を勝ち抜くため、
熾烈な競争が繰り広げられる。

書くいう私も田舎の進学校で優秀な成績を修める。
早稲田に受験で合格したのは私1人だけだったと思う。
秀才である。
秀才と勘違いした田舎者は司法試験を志すが、
甲子園で活躍してプロに進んで鳴かず飛ばずになるのと同じく、
競争から去ることになる。

東大に進んだ人々も気づくのだろう。
ああ、天才が数千人もいるわけがない、そんな当たり前のことに気づけなかったとは。と。

勤め人の世界での出世競争から降りる

さて、お勉強競争をしっかり学校で叩き込まれた後は、
仕事で成果を出して出世する。
という競争に追い込まれることになる。

私が司法試験をやめて、
新卒ではない立場で就職したのはこの点がラッキーだったのかもしれない。
仮にソレなりの会社に就職していたとしたら、
仕事で成果を出し、出世競争を頑張るという行為に長い年月を費やしてしまっていたかもしれない。
私は大学の同級生と比べると給料も安く、知名度もない会社に就職した。

もちろん、そんな会社でも競争させられる。
いわゆる低学歴の人が多かったし、
成果を出すことは容易だ。
評価もされる。
しかし、私は「こんな会社で評価されてもうれしくもないし、給料も上がらん」
と、本当に思っていた。

あくまでも大学の同級生たち(それも成功者)が誰もが知る企業で、
キラキラと働いているようす。
弁護士や検察となって誰からも賞賛される様子を、うらやましく思っていたのである。

しかし、大企業は基本的に新卒しか採用しない。
一時住友信託銀行が第二新卒を募集していたことがあったが、
原則大企業の採用は、新卒一括採用である。

だからこそ、わざと卒業を1年遅らせて就職活動に再挑戦するという
人生の無駄遣いも行われるのである。

私はそんなしがない借金取りのサラリーマンをしながら、
勤め人という競争から降りたのである。
それは聖丁のように、積極的なものではなく、敗者として去ったという形であった。

エリートが 100ならば 負け犬は 50+50で100にする。

どうやら勤め人エリートは30歳で年収1,000万円に乗るらしい。
27歳の私の年収は当時350万円。
エリートどもは7,800万円程度だったのではなかろうか。

このまま勤め人をしていても部長になって1,000万円になるかどうかの会社に
私は勤めている。
ここでいかに成功したとしても、
若い時間を浪費して、1,000万円に到達した時には初老のオッサンになることは
目に見えている。
というか目の前の上司がそうだ。

そこで私は副業をした。
起業した友人を手伝って報酬をもらった。
最初は月5万円だったが、
やめる直前には20万円も貰った。
勤め人の仕事をさっさと切り上げてからの業務と、土日の仕事だったが、年収240万円UPである。

350万円+240万円である、約600万円になった。
しかし、まだ一流エリート勤め人にはまだ不足だ。
ヤツらのキラキラした人生に並びたい並びたい‥‥。

私は不動産に目を付けた。
「そうだ!家賃を貰おう」と。
借金取りをしていると、競売やら任意売却で不動産をかたっぱしから処分するのだが、
どうも、不動産売買の現場に来る、「買主」というヤツらにはカネの臭いがする。

不良債権の担保不動産を買いとる投資家である。
私は彼らと話をして、不動産が良いと直感的に思った。
そして都内ワンルーム投資を始めた。

当時は都心でも10%を超える物件があったので、
妻と慎ましく生活をして、資金を蓄えて現金で買い進めた。
2008年から2013年の5年で4件のワンルームを買った。

この家賃収入が月6万円だ。
4件あると月24万円である。
手取りは5万円程度なので、ここでも月収20万円、年収240万円となった。

350万円+240万円+240万円=830万円である。
やっと、私は30歳にして大学の同級生たちに肩を並べることができた。

勤め人一本で1,000万円稼ぐよりも、
ほどほどの給与で生活しつつ、副業で稼ぐ方が良いと、今でもそう思う。

ここからは蛇足だが、
私の勤め先は、リーマンショックで倒産して、
銀行の子会社に転職をした。
年収が350万円から700万円にUPした。
31歳になっていた私は総合商社やテレビ局、広告代理店に就職した連中と比べても、
遜色がない水準の収入を得られるようになる。

そうなってしまうと、不思議なもので彼らに対する劣等感がスッと消えてしまった。
今となっては年収など取るに足らないものになってしまった。
それ以上に取るに足らないのは、
給与をUPさせるために、出世競争をするという愚行である。
それも、優秀な大学を出た人間と競争し続けるのは地獄以外の何物でもない。

ハシタガネを貰い、人生を安売りして、おもちゃの勲章を集めるのと何ら変わりはない。
結果利益を得るのは企業のオーナーなのだ。

ホワイト企業に潜り込む、95点を取り続ける、不動産を買う。

大多数の人には就職はやむを得ない選択だろうと思う。
資産家の子息でもない限り、無一文から資本主義ゲームに参加するのだから、
仕方ない。

強い相手と戦わされる業界、企業に就職してはならない。
給与は高いかもしれないが、消耗度が半端ない。

もっともマズイ業界は
銀行、証券、保険、不動産仲介などである。
これらの業界、企業の商品は、
「どこで買っても同じ」
という特徴を持っている。
そして差別化要因は「人」である。
似たようなものを買うなら売る人で差別化するしかない。
この業界で勝利するのは疲れるのである。

疲れてしまったら副業に身が入らない。
よってダメだ。

ただし、私は借金取りは良いと思う。
特に私は回収専門業社だったので、
営業をする必要がない。
延滞した債務者は客とは言えない。
客は不良債権を処理してくれる銀行である。

金融商品を売るならばお願いもしなければいけないが、
債務者にはお願いする必要はない。
返せ、と言うだけだ。
返さなければ法律を駆使して追い込むだけだし、
それでもダメなら債権を償却して終わりである。

特に商工ファンドやらサラ金問題で、社会的に借金の取り立てに対する規制が厳しい時代なので、頑張るほど問題を起こしてしまう。のが借金取りでなのだ。
ホドホドにやっていられる借金取りは実に良い勤め人だと今は思う。

借金取りばかりおススメするわけにはいかないので、
他に良い業界、企業は
「商品自体に強い競争力を持つ会社」である。
この会社からしか買えない。
という商品を扱う会社は良い。
商品自体が強いので、それを売る人は誰でもいい。
ストレスが少なく、仕事が出来る。
そんな商品を扱うルート営業などは最善だろう。

また、同じ不動産でも仲介はキツイが、
大家的な商売をしている不動産会社は良い。
これも抽象的には「この会社からしか買えない」ものを扱っている典型と言える。
三菱地所や、三井不動産はおそらくホワイト企業だろう。
働いたことはないが、そこで働く人たちの余裕を見る限り間違いない。

そんなホワイト企業で出世を抑え、そこそこの給与で生活を安定させて、
適正な不動産を買い、運用する。
計画的に実行すれば30代でリタイア可能だろう。
結婚を先送りする、実家でさらに生活費を削減する、など、
テクニックを駆使すれば20代でも行けるかもしれない。

競争は避けて気力を温存する。
強い奴らと戦うと消耗するのでやめた方が良い。

おわり