それでも自宅は買わない方が良い

自宅に関する議論まとめ

家賃を払うよりは買った方が資産になると言う理屈

「毎月10万円の家賃を払うよりは
住宅ローンを組んで家を買えば、支払額は同じだし、返済が終わった時に自分のモノになる。住宅ローン減税もある。」

なんというパワーがあるセールストークであろうか。
この理屈で何万人という勤め人が家を持っただろうし、
これからもこのセールストークが炸裂することであろう。

確かに都心部にあるマンションについては築年数が経過しても価値が高まっていくだろう。
(いかんせん高いが)
しかし、新興住宅地の分譲戸建住宅は22年で建物の価値がゼロとなり、
土地の値段でしか売却できないであろう。

それでもなお家を買うという行為には魅力があるらしい。
韓国の大統領選(2022年3月)でも、住宅価格の高騰が社会問題化しているとのこと。
家を持ちたいと言うのはある意味人間の本能に訴える力を持っているのかもしれない。

買わない方が良い理由

過去に何度も私は自宅を買わない方が良いと繰り返し述べてきた。
しかし大事なことは何度も言うことが大事なので、
同じ言葉を繰り返す。

最近では数字や損得の面以上に重視するポイントが変わってきている。
最近最も重視しているのは実は数字ではなく、感覚の方である。

「未来は自分の思い通りになる」

私はこれは真実だと思う。
自分が思い描いた未来がやってくるのである。
逆に自分なんてこの程度の人間だから、この程度の将来しかない。
と思ってしまうと、
「この程度」の将来がやってくる。

今の自分の経済力に相応しい家を買ってしまうと、
今の自分の経済力をコピー&ペーストしたような経済状態が35年続くことになる。
数年後に年収が10倍になると思っていたら、
その家を買うか?
よく考えた方がいい。
今自分が想像している未来があなたの買う家なのだ。

私も28歳で家を買っている。

私も確かに家を買っている。
28歳の時だ。
年収は350万円しかなかった。
その時に35年のローンを組んだ。
2,900万円のローンである。

ただ、私が想像していた未来は、
夫婦二人の間は1LDKで十分。
いずれ住み替える。
その時に、この家は賃貸に出す。
そしたら家賃は15万円取れるはず。
ローンの返済と管理費修繕積立金、税金を踏まえても支払は13万円程度だろうから、
収支は合うはずだ。と。

しかし、毎月のキャッシュフローが2万円程度である。
リフォーム費用等を踏まえるとちょっと心許ない。
この程度の収益性では投資としては合わないと思う。

面白いことに、
私が思い描いた未来はその通りに実現した。
私は2007年に家を買い、
2010年には子供が二人に増えたので、
URの賃貸住宅に転居した。

残念ながら14万円でしか貸せなかったが、
その通りになった。

想像した通りの未来になっている。
ショボい収益を期待したので、その通りの収益性が実現された。

それでも物件価格は高騰しているので、
長期的には損をしない。
でも、含み益でメシは食えぬのであるから、
長期間使えないカネを持たされているようなもの。
含み益は売却して現金化しなければいつまでたっても絵に描いた餅である。

老後まで住もうというしょうもない未来を想像してはいけない。

30代で家を買えるのは恵まれた社会だと思う。
しかし、それでも買う時には、老後まで住むとか、
しょうもない未来を想像して買わない方がいい。

地震で倒壊もするかもしれないし、
売って住み替える可能性を信じた方が良い。

30代で家を買ってコツコツ繰上げ返済をして、
退職金で完済という未来を想像したら、
その通りのショボい人生になる。
自分が思い描いた未来がそのままやってくる。

10年後年収が10倍になるような未来を想定しよう。
そして、その未来は当然のようにやってくる。
10年後売却してもっと良い暮らしをすることを想像した方が良い。
30年後ボロになった家で慎ましく暮らす想像をしてはいけない。

数字の話はあえてしないが、
結局数字で見せても同じこと。

数字も大事だが、
感覚はもっと大事だ。

ショボイ未来を思っていると、
ショボい未来が実現する。

あなたが買おうとしている家と背負うと決めた借金(住宅ローン)は
あなたがイメージしている未来を象徴している。

いま、買おうとしているその家は、
果たして、あなたの実現したい未来なのだろうか?
よく考えてみよう。

つづく