世帯数が増えると消費が増えるという常識
昭和時代は2世代、3世代同居は当たり前だった。
私自身、父親が長男だったので、
祖父、曾祖母(曾祖父は戦死に近い病死)と同居していたので、
4世代同居であった。
精神疾患がある叔父も同居しており、
9人家族という大所帯。
私は自分の部屋が与えられず、嫌で嫌で仕方がなかったのを覚えている。
その経験もあって、3人の息子には一人一部屋を与えたい!
と切望して、今の社宅は5SLDKという広い物件を借りた。
社宅はもともと3人子供がいた医者の家であり、
育児を終了した医者は都心のタワマンへ引っ越して、
長らく空き家であったものをリフォームして賃貸に出したようだ。
部屋が一人一部屋あてがわれていると、
不思議なもので、子供たちはちっとも自分の部屋を使わない。
3人とも仲良くリビングで遊んだり、
誰の部屋という事もなく行き来している。
結局一人一部屋与えたいというのは私の自己満足であったのだなと、
苦笑いをする日々である。
話がそれた。
世帯数が増えると、生活コストが嵩む。
水道光熱費はもちろん、
家電製品も世帯ごとに必要なものである。
当然、企業としては核家族化が進むことは望ましい。
子供が一人暮らしをするのも大歓迎である。
ワンルームマンションが売れるし、
家も売れる。
家電も売れれば食費もかかる。
あらゆる消費にとって、世代同居は「善」である。
嫁姑問題を煽り、世代分断作戦を実行し続け、
今や日本は同居するほうが珍しい時代となった。
企業の善は個人の悪
しかし、
立場を変えてみれば多数世代同居は支出の増大という負の側面がある。
世代同居をすることで、
① 住居費
② 食費
③ 水光熱費
などが維持できるのみならず、
家事労働が共有できる。
そもそも多数世代同居をしていれば、
保育園の不足問題もほとんど解決できると言ってよいだろう。
特に最近は育児世代が少ない。
私も息子の運動会に行くと、生徒数よりもジジババと両親という観客の方が多いという状況が出現している。
食事を作る手間は1家族分でも2家族分でも大して変わりはない。
おばあちゃんが食事や掃除を行い、
おじいちゃんが孫の塾の送迎をしたら、
世の母親はどれだけすくわれるだろう。
ワーキングマザーの労働負担は限界を超えているのである。
労働力が集まり、生活のための労働が合理化されることは間違いない。
逆に核家族が増えれば、家事労働を外注せざるを得ない。
企業にとっては善だが、
個人にとっては悪。
それが核家族世帯の増加である。
私が世代間同居をしない理由
私の両親は岩手県に住んでおり、
田舎で農業・林業をライフワークにしている。
母親は祖父の世話などをしており、
岩手から出るつもりはない。
岩手で死ぬだろう。
よって私側で同居戦略を取るには、
私が岩手県に生活の拠点を移す必要がある。
だが、私が岩手県に移住することは妻が断固拒否である。
私自身岩手県で勤め人+アルファをする選択肢はないと思っている。
一方妻側に関しては同居のメリットがある。
実際私は妻の実家から車で5分程度の場所に居を構えている。
いわゆる「スープの冷めない距離」に住んでいる。
事あるごとに妻の育児負担を軽減するために義母が骨を折っており、
助かっていることは間違いない。
義父は今年他界したが、義母の家は広い。
妻も3人兄妹で、2世代が同居できる可能性は高い。
それでも私は別に家を借りている。
残念ながら、妻側には私と義母の同居がさせられない事情がある。
それは義姉が義母と同居していることである。
義姉はもう50歳だが、独身であり、実家で暮らしている。
彼女と同居するのは無理だろう。
この問題があり、私は義母と同居できないのである。
義姉がワンルームマンションでも借りて自立してくれればいいのだが、
そうもいかない。
少子化の問題は女性の非婚化の問題にも密接に関連しており、
実際に私の家族もこの問題に直面しているのである。
行かず後家(いかずごけ)の義姉が存在するが故に、
同居戦略は取り得ないのである。
特に資産形成期の若者は同居を積極的に検討すべきだが、立ちはだかる課題
サウザー師匠も、資本主義の分析において、
正社員、契約社員、派遣社員、アルバイト労働を
士農工商という身分制度になぞらえて説明している。
① 正社員・・・・家族を持つだけの収入を与えられている身分
② 契約社員・・・切られるリスクが高く、家族を持つという長期的リスクが取れない身分
③ 派遣社員・・・自分ひとりの生活費を賄える程度の収入が与えられる身分
④ アルバイト労働・・・自分ひとりの生活費も賄えず、親に寄生することを前提とした生活費しか与えられない身分
① 正社員になれば、家族を持つだけの収入が与えられるが、あえて家族を持たず、親と同居することで、生活コストを抑え、商品づくりのタネゼニを貯めることを加速する戦略を取る。
この戦法をサウザー師匠も積極的に推奨している。
敢えて正社員の立場を維持し、親と同居して生活コストを抑えつつ、
自分のビジネスのタネゼニを貯めるという戦略は極めて有効である。
仮に結婚していたとしてもいずれかの両親と同居する戦法は同様に有効である。
是非、まだタネゼニ貯めなきゃ段階にある若者達は同居戦略を活用して欲しい。
しかし、
この戦法には最大の問題がある。
それはモチロン、
「家族の関係が良好であること」である。
二世帯住宅にするなどして軋轢を緩和する手段はあるものの、
自宅を作る(改装する)というのは大きなコストがかかる。
タネゼニ作りに回すべき金(カネ)が自宅への投資という浪費に回ってしまうのはマイナスである。
自分の親と住むにしても嫁様との関係が重要だし、
嫁様の親と住むにしても自分との関係にわだかまりがあってはストレスである。
良好な家族関係はまさに資産であると言えよう。
私も息子達が3人とも同じビルに居住して労働力を効率よく共有化し、
ファミリービジネスを形成して効率よく反映していくことが望ましいと思っている。
投資家、司法書士、建築士、リフォーム業者など、
3人の息子がそれぞれ補完し合う形で協業できれば、
これはすさまじいパワーになると思う。
だが、それは息子達の自由意思の問題があるので、
私の勝手な夢想ということにしておく。
良好な家族関係を構築し、
世代間同居を活用して、スピードを上げて資産形成をして行こう。
つづく