大家勤め人歴18年の私に言わせれば
勤め人になって21年、大家を始めて18年。
もはや熟練した勤め人大家である私だが、
実は大家業をやることにはずっと後ろめたさがあった。
事実、2019年、つまりコロナ前までは、
勤め人を必死でやっていないと、良心の呵責的なものがあった。
ここまでは間違いなく、
大家 <<<<<<< 勤め人
という力の入れ具合であり、
どんなトラブルに見舞われたとしても、勤め人を優先してきた。
大家のような副業をやって申し訳ない。
同僚の皆様に大家業をやっているからと後ろ指を指されないよう、
勤め人も必死でやらねば。
という意識があった。
つまりここ5年で大きく勤め人に対する意識が変わったと言える。
1つはコロナ禍。
1つは私を採用してくれた恩人の退職。
最期に、上司の怠慢。
この3点である。
まず、コロナ禍。
私の勤め人は、業種的にコロナの影響こそ受けるのだが、
悪い影響は営業活動がやりにくくなるくらいで、
別に売り上げは下がらない。
運用しているファンドのリターンが下がるリスクはあるが、
ファンドという性質上、そのリスクが直撃するのは「投資家」であって、
運用者ではない。
そんな感じで、何もしていないのに、
給料が入ってくるという現実を見て、
今まで必死こいて働いていたのは何だったんだ?????
という感覚に変わった。
もちろん聖丁ラジオを聞き続けて、
その教えが体に完全に染みついた。というのもある。
私を採用してくれた上司の退職
私を採用してくれた上司がこの頃、退職した。
特に私に許可を得る必要もないわけだが、もちろん私には相談はない。
その後の身の振り方について、私にああしろ、こうしろと言う話もなかったので、
『これで義理は果たし終わったな。』
という気持ちになった。
まあ、この会社に連れてきてもらった、期待通りの戦果は挙げたな。
そう思ったのは間違いない。
さらに
同時期に退職した別の上司の仕事を引き継いだのだが、
まあ、これがヒドイ有様で、
「オメー、役員のくせにこんなに散らかしたまま辞めんのかよ!??」
という惨状を見た。
無能な領主が統治した後の疲弊した領国の如し。
これを必死で整理して、それが終わったとき、
力が抜けた。
「アホくさ。」と。
引き継いだ上司は当然私より好待遇だったであろう。
しかし、ひどいサボり具合だったと思う。
それを整理して思った。
「俺が真面目過ぎるのではないか。」と。
ふと下を見れば…。
私は素直でマジメな人間である。
聖丁が、ブラック企業に入社して配属された初日に、
先輩社員に、「お前、明日の朝、店の前に立って挨拶しろ」
と、言われて、冗談だと思わずに真面目に挨拶していたというエピソードがあるのだが、
私も間違いなく、言われたらそれをやってしまうタイプの人間である。
建前の話も真面目に引き受けて実行してしまう素直な心がある。
そうやって、案件が足りなければ担当外の営業もやって、
案件を持ってきたりもした。
しかし、「全員野球!」みたいなコメントを真に受けているのは、
実は私だけで、他の社員はそんなこと聞き流していたのである。
私を採用してくれた上司がいなくなって、
顔色をうかがう相手もいなくなったので、
ふと、周りを見渡してみると、
私のようなマインドで働いている社員は一人もいなかったのである。
今まで上を見て指示を守ってきたが、
下を見てみれば、そんなヤツは俺だけだったのだ。
最期のダメ押しは、
私の新しい上司が重要案件に穴をあけると言う大チョンボをした時だ。
私は、「ああ、これは懲戒解雇モンだな…役員でもあるし」
と、思ったが、結果は「お咎めなし」である。
この瞬間、私の中のマジメな勤め人の「あるべき姿」が「パリーン!」と音を立てて、割れるようだった。
上司という立場で、
そんなことをしでかしてもクビにもならず、
現状維持なのであれば、
言われたことをやっている普通の平社員はクビも減給も、あるわけがない。
そう思えた。
賞与をカットするくらいはあるだろうし、実際やられたが、
別にそんなものは要らん。
税率40%マネーである。
「はい、皆さん、そんな感じなんですね。
じゃあ私もそうしますー。」
という感じに吹っ切れることができた。
忙しくしている人を見たら案件を引き受け、
自己申告で「まだやれます!」と、言う。
そうやって生きてきたのだが、
スパっとやめることができたのだ。
周囲を見渡して、平均的な成果を上げていたら、
100%問題ない。
極論、勤め人の同僚を見渡して、最下位でない限りは大丈夫である。
勤め人という稼業はそこまで一生懸命やるものではないし、
逆に、あまり一生懸命にやられると、
他の社員まで努力しなければならなくなり、
努力しまくる社員は「煙たがられる」のである。
(特にホワイト企業ではこの傾向が顕著だ)
人並みにやっておけばいいのである。
余ったエネルギーは遠慮なく、
オノレの商売にぶち込んだらいい。
勤め人の給料は所詮、生活費だ。
過剰に増えることは、ねぇ。
良心はもう痛まなくなったし、
担当外の努力もしなくなった。
ありがとう。
をはり