韓国より国民一人当たりGDPが低い日本

資本主義の分析

維新の会の政策から考える日本が貧しい理由

日本維新の会という政党の政見放送を見た。
日本は30年も成長していない。
それは既得権益があり、民間の力を使っていないからだ!
という主張だ。

個人的には全くAだからBという論理が感じられないが、
多数の国民は頭が悪く、貧しい。
自分が貧乏なのは金持ちや政治家が甘い汁を吸っているからだ。
維新に投票しよう!
と、なるのかもしれない。

だがそれは大いに間違っている。
規制緩和をしたり、国家事業を民営化すると何が起きるか考えてみると良い。
仮にタクシーが国家事業で、
タクシー運転手が全員公務員である国があったとする。
タクシー運転手1万人は全員100万円の給料をもらえる。
1億円の給料だ。
これでタクシー業界と言う10億円の市場が回っているとする。

これが民営化されたら何が起きるか?
それは競争である。
競争が起きて、民間のタクシー会社がたくさんできる。
タクシー運転手は2万人に倍増するだろう。…①

さらに競争が激化し、価格の引き下げが起きる。
タクシーの価格が半額になって、市場は8億円に縮小する。
(半額になっても利用者も増えるので市場規模が半分にはならない)
たしかにタクシー料金は下がって、
安くタクシーが利用できるだろう。…②

さて、①と②が相乗効果を生むのである。
タクシー業界の市場規模が8億円に減ってしまったのに、
タクシードライバーは2万人もいる。

当然運営コストを下げなければ企業はやっていけない。
当然給料を下げるのである。
100万円だった給料は70万円に減るだろう。

これが日本で30年間ずっと行われてきたことなのだ。
だから国民の給料は下がり続け、GDPも下がり続けた。
物価も下がるので、黒田バズーカを何発撃っても
インフレ率は2%を切ることはない。

デフレが長期化するのである。

つまり維新の会が主張する政策を実行すれば、
間違いなく日本人は貧しくなる。
全部の業界で合理化をして、競争をしていったら、
デフレになるのだ。

今必要なのは、政府が金を使いまくること。

日本銀行に口座を持っている人はいない。

日銀が国債をいくら市場から買い取っても、
日銀が紙幣を発行しても国民一人一人には1円も回ってこないのだ。
このお金はどうやったら我々の手に回ってくるのだろう。

それは民間銀行がお金を貸さないとダメなのである。
日銀が民間銀行にお金を貸し、民間銀行が民間企業(人)にお金を貸すことで、
市場にお金が供給されるのである。

今、借金する人がいないのが問題になっている。
デフレになって給料が上がらないので将来が不安になって、
日本人はせっせと貯蓄する。
金を使わない。
そうすればモノが売れないのであるから、
企業は借金をしてまで設備投資もしないし、
人も採用しない。
ますます給料も下げる。

まさに悪循環である。
この状況で金を使う人は誰か?
そう、政府しかない。

政府の最強の権力は「通貨を発行できること」
である。
そして最強たる所以は、
「自国建ての通貨(=借金)はいくら発行しても政府が破綻することはない」
という点にある。

私が100億円借りて散財したら、100%破綻する。
一方、政府は絶対に破綻しないのである。
なぜならば「お金を無限に作れる」からである。
この「お金を作るパワー」を行使して、
政府が率先して、バンバンお金を使うしか、デフレを脱却する方法はない。

こんなことは100年以上前にケインズという天才が、
解決策として考えていたことで、
日本でも高橋是清という秀才が実行して成功を収めていることだ。

新幹線やリニアを早く完成させるために投資してもいいし、
(政府が無利子の貸付をJRに行う)
研究者に予算を倍増してもいい。
老朽化した道路をキレイにしてもいいだろう。
インフラにドンドン投資したらいい。
災害対策のための河川工事もやるべきだ。
コロナで苦境に陥った中小企業への補償を倍増させてもいいのである。

インフレ率がこれほどまでに低い状況であれば、
むしろ、それをしなければならない。

無職や低賃金の人は全員公務員に採用して高い給料を払えばいい。
そしてバカスカ消費してもらう。
企業は売れるからドンドン設備投資をする。
公務員に取られたらまずいから、公務員より高い給料を払って人を採用する。
こうして経済は回復していくのである。

そして経済が異様に過熱して、
インフレ率が3%➡4%と上がってきたら、
そこで初めて消費税やら、規制緩和(公務員減らす)を実行して沈静化させればいいのである。

だから日本は貧しい国になったのだ。

こうしてめでたく、日本は貧しい国に成り下がった。
韓国よりも国民一人あたりGDPが低い、発展途上国になりましたとさ。

である。

維新の会や自民党にも多い、緊縮財政を推進する限り、
日本は市場に供給されるカネが少ないまま、
貧困化し、子供を育てるカネも供給されず、
少子化が進んで、最後は消滅するだろう。
国民がいなくなれば国の借金はなくなるだろう。
だって国自体がなくなるのだから(笑)。

私が独裁者であれば、
所得400万円以下の世帯全部に一律1,000万円となるように現金を給付する。
それで一発で解決するだろう。

まあ、それでもバカなヤツは浪費して、
結局金持ちにカネが集まるだろう。
そしたら、金持ちにまた税金を課して、資金を回収して、
また貧乏人に給付する。

税金は財源ではなくて、富の適正分配ツールに過ぎない。
デフレ時の政府支出の財源は「国債」に決まっている。

返す必要のない借金(政府の負債)で大変だ!などと、
バカなことを言っているのは世界広しと言えども日本だけである。

という訳で、今回の選挙は比例では、れいわ新撰組に投票する。
私の選挙区は自民と立憲民主しかいないので、やむを得ず小選挙区は自民党に入れる。

つまらん選挙である。