都心の勤め人の資産形成「都心マンション」

自宅に関する議論まとめ

なるほど、都心のマンションは高い。

私が結婚してこの辺にマンションを買った時、
この物件は6,000万?程度だったと記憶している。
子供ができて、二人目を考えた時に、購入の選択肢を検証したが、
5,000万台でないと3LDKは買えない。

子供は3人は欲しいと思っていたのだが、
3LDKでは狭い。
都市は人間の生殖意欲を減退させるという説があるが、
これは正しい、東京の出生率が全国最低なのは、
共働きと居住空間の狭さに原因がある。

それはさておき。

10数年で2倍になった。
インフレ率を3%としても値上がりは3割程度で済むはずだが、
2倍である。
これはどう説明したらいいのだろうか。

1つは、住宅ローンの強化である。
より長く返済期間を認めることで、多額の借入を可能にした。
もう1つは「共働き」である。
つまり地獄のペアローンだ。
1,000万の年収を合算、2倍にして、年収2,000万として、
より借金漬けにしやすくしたのである。

40年ローンが誕生したらしいが、
25歳から65歳まで労働すれば理論上は可能だ。
仮に40歳で組んだとしても、65歳で残債は半額に減っているだろうから、
最悪物件売却でローンは完済できるだろう。
そんな計画なのだろうか。

不動産が値上がりする傾向はどこまで続くだろうか????
これは何とも言えない。
私は不良債権処理を通じて、値下がりする不動産と住宅ローンという
逆のレバレッジで吹っ飛んだ債務者をたくさん見てきたので、
この不動産の値上がりを前提としたチキンレースには参加しない。

しかし、
都心で激務労働をしていたら、資産形成などできようもない。
エリート勤め人であれば、郊外のボロい家にも住めないだろう。
(何より嫁が許さない)
結局、自宅を買い、値上がりを祈るしかないのかもしれん。

多少賢い勤め人は、借り上げ社宅に住んで、
株式投資で資産を膨らませている。
そう、文字通り膨らませている。
中身があるかどうかはわからんが。

いずれにしても、だ。
自宅の含み益に期待するのも、
株式の含み益に期待するのも、
それは「貧乏人がやる投資ではない」と、だけ言っておく。
キャピタルゲインに期待する投資は、
定期的に訪れる、バブル崩壊というヤツによって
悲劇的なダメージを受ける。

歴史は繰り返すのだ。
その転換点で、見事なクイックターンを出せる人は、少ない。

毎月のキャッシュフロー。
安定的なキャッシュフロー。
生活費を賄うだけの給与以外からの安定収入。
ここから逃げることはできないのである。

それがすでに構築済みの資産家階級が、
さらに資産を増加、保全するために行うのが、
キャピタルゲインを狙った投資であり、
これを勤め人のご身分でやるというのは大いにおすすめできない。

SAT債の購入者の中にも、超都心の低層マンションを
9,000万円で購入したという人物がいる。
今は確かに1億7,000万程度に値上がりしているのだが、
この含み益は文字通り食えない。
子供がいて、学校にも通っているから、売るわけにもいかない。
売ったとしても、同程度の住居は必要なわけで、
賃貸となればローン返済の2倍の家賃を支払う必要があるし、
住み替えといっても、生活のレベルを落とすことはできない。

食えないモノを目の前にぶら下げられても、
食えないんだからどうしようもない。
多少度胸がある人物であれば、2番抵当に投資用ローンの抵当権を付けて
投資をする(ワシのことや)のだろうが、
その度胸はなさそうである。

ちなみに、私が購入した、リフォーム込みで700万円で投資したテラスハウスだが、
これは東京駅まで50分で通勤可能で、4LDKの90平米ある。
都心の1億4000万円のマンションとの価格差は20倍だ。
正直、居住空間としての快適差は2倍程度であろう。
通勤時間は1日あたり1時間長くなるかもしれない。
しかし、1億3,300万円の価格差を吸収するのに、何年通勤しなければいけないのだろうか?
年間労働日数が240日として、240時間、30年労働するとして、7,200時間の差になる。
1時間当たり18,000円だ。
確かに18,000円の付加価値を俺は産み出せるんだ!
という人はいるだろうが、
勤め人のご身分で1時間18,000円の付加価値を出せる人はすでに勤め人はしないだろう。

回りくどい話ですまんが、
高いと思う。
私が買ったマンションでも2700万円、諸費用込々フルローンで2900万円だったし、
それでも高いと思っていたし、返済が半分終わった今でも高いと思う。

つくづく思うのだが、住宅という消費行為と、
資産構築を組み合わせてはならない。
区別したほうがいい。

さらに、勤め人階級を脱出して、資本家になるための最初の1歩は、
生活費を給与ゼロで賄うキャッシュフローを構築すること。
である。固定収入を生まない自宅は攻めの駒ではない。守りの駒である。

株式は多少のキャッシュフロー(配当)を産むが、
これでは時間がかかりすぎるし、マーケットの気まぐれ次第だ。

やはり資産形成は賃貸用不動産、つまり大家である。
貸家だ。
自宅で自分の与信を目いっぱい食ってしまったら、
投資用のローンが借りられなくなる。
さらに住宅ローンとは言え、毎月の返済額は結構重い。
住宅ローン減税とはいえ、一番オイシイのは、
「減価償却費」という見えないキャッシュアウト、なのだが、
自宅ではこれも使えない。
固定資産税・都市計画税もなんだかんだいって、重い。

まあ、とはいえ、
自分の住みたい家に住んで、気分良く生活をして、
仕事もバリバリやれるというなら、それはそれで他人に否定されるものでもない。

自分が納得して住むならいいと思うし、それは否定しない。
競馬場に集まる人々、パチンコ店に並ぶ人々に
「それは間違いだ」
と、説得して回るほど、私は愚かではない。

世帯年収2,000万程度(手取りは1200程度か?)なのに
納得して自宅に1億も2億も払うのは少々クレイジーである。
売ればいいというが、誰が買うのだろうか?
ババ抜きで「自分だけは負けない」と言っている人を俺は笑う。

をはり