2年で、マネタリーベースを2倍にして、インフレ率を2%にする。
ついに消費者物価が日本でも2%上昇した。
そういえば、黒田総裁は上記のように言っていたことを思い出した。
2年のうちにマネタリーベースを2倍にして、インフレ目標を2%にする!
と。
はて、それはいつのことだったか‥‥。
振り返ってみると2012年12月に第二次安倍政権が発足したので、
2013年から、もう9年になろうとしている。
9年という歳月を経て、黒田総裁は公約を達成した。
(のだろうか)
2013年が上、現在(2022年)が下。
現在77歳とのことである。
黒田総裁もいいお爺さんになってしまった。
さて、黒田総裁は公約を果たしたのだろうか?
消費者物価が2%上昇したことは、黒田総裁の成果なのだろうか?
黒田バズーカが証明したもの。
もちろん、黒田総裁の黒田バズーカがインフレ率2%を実現したとは言えない。
現在、消費者物価が上がっているのは、
ロシアのウクライナ侵攻に伴う、資源高の影響を受けたからに過ぎない。
欧米の利上げに伴って円安になって、輸入物価が上がったことによるインフレだ。
では、黒田総裁の政策が証明したのは一体なんなのか?
それは
「日銀がいくら国債を買い取ってもインフレにはならねー」
という事実である。
息子を政治家にするために自分が立候補したビジネスの天才、
藤巻健史先生は、
「ハイパーインフレ」になると言っていたが、
インフレ率はゼロ%が続いた。
世の中「極端なことを言うと注目される」。
1999年、恐怖の大魔王がやって来て人類は滅亡する。
という話題が、世界を席巻したことは誰もが知っている。
西暦2000年、世界のコンピュータが異常を起こし、
大混乱になる。
人はこのような極論に興味を惹かれる性質を持っている。
それは社会的な動物である人間が、特にマイナス情報に対して敏感であることで、
生き残ってきたという遺伝学的な証明だと思う。
「あの池の水を飲むと死ぬ」
「あの魚を喰うと死ぬ」
「あの部族が明日、私たちの集落を襲撃するらしい」
など、私たちの祖先は、危険情報を正確に得て、それを回避してきたことで、
生き残ってきた。
プラスの情報よりもマイナス情報に対して敏感なのである。
この生物学的本能に訴えて、話題を集めて、本を書くと言うのはうまい作戦だ。
100回に1回当たれば、その当たった事実を実績として大いに宣伝する。
99回の負けなど、誰も覚えちゃいない。
藤巻先生の作戦は非常にうまい。
私は羞恥心があるのでそのような戦法は採らない。
しかし、その辺を気にしない人は是非やって見たら良い。
宇宙工学を勉強して修士号を取ったら、隕石が地球に衝突すると、高らかに言えば良い。
大いに有名になれるだろう。
話がそれた。
黒田バズーカが証明したのは、
日銀がいくら国債を買い取ってもインフレにはならん!ということだ。
そもそも、国債=日本銀行券だ。
日銀が国債を買い取ってもインフレにならないのは当然と言えば当然だった。
従来民間銀行が保有していた国債を、日銀が全部買い取る。
日銀は国債を手に入れるが、
民間銀行に対して1万円札を支払う(実際は日銀当座預金の残高を増やすだけだが)。
民間銀行は大量の1万円札を持っている。
それだけだ。
以上
以上である。
そもそも、東大を出た黒田総裁。
なぜそれでインフレ率が2%になると思ったのか?
そして一橋大学を出た藤巻先生はハイパーインフレになると思ったのか?
大いに疑問だ。
そもそも国債は紙幣とほとんど同じである。
国債とは、政府が発行する債務証書である。
紙幣(日銀券)とは、日銀が発行する債務証書である。
政府が発行した債務証書を日銀が発行した債務証書と取り換えただけだ。
まあ、日銀券には国債と違って利息は発生しないが、まあ同じことだ。
そもそも物価が上がるわけないのである。
こんなバカバカしいことを9年もかけて日本は証明したのだ!
しかし、今思えばバカなことでも、
実際に証明されたのと、頭で考えていただけのこととは大いに異なる。
原子爆弾も実験で「おー!」と言っていたのと、
広島と長崎に実際落としてみた後では全く異なる。
「こいつあ、やべえ」
と、理解するには現実を見るしかない。
人は馬鹿なので、想像だけでは理解できない。
実際に悲劇を見なければ分からないのだ。
需要と供給が物価を決める。
高校の政治経済で習う原則に戻ろう。
物価を決めるのは需要と供給である。
インフレ率を上げるために必要なのは、
需要を発生させることなのだ。
日銀と民間銀行が国債と日銀券を取り換えっこしても、
国債の満期までの割引率分だけ民間銀行が利益が出るだけだ。
雀の涙ほどの利益が民間銀行に生じるだけなのだ。
経済誌などは
「イノベーションが足りない、アップルを見ろ、Amazonを見ろ」
「日本の労働環境の硬直性が問題だ」
と言う。
あくまでも「供給」の話ばかりする。
日本の企業は硬直的だとか、散々に叩く。
違う、問題は需要なのである。
民間部門、特に国民一人一人は実質賃金が減っている。
消費も最低限に抑えるしかない。
要するにカネが回ってこないから、欲しいモノを買えないのだ。
企業側は供給されたカネを集めすぎてカネが余っている。
しかし、売れないから設備投資もしないし、人も雇わない。
カネが回っとらんのです。
これを打開するのは本当に簡単である。
「消費意欲の高い人に現金を配る」
これだけで済む。
年金は倍にしたらいい。
子供が生まれたら出産費用は全額給付すればいい。
教育費は全部無償化したらいい。
需要があるところに、価値を媒介する(カネ)を与えれば、
消費される。
消費に応えるために生産力が上がる。
日本が30年以上抱える問題は、
誰も「消費」しない。
ことに原因があったのである。
国民は消費税、社会保障費の負担で消費できん。
国民に消費意欲がないので、企業は投資しない。
その際に積極的に消費「赤字」を出せる経済主体は政府しかない。
しかし、
政府は「プライマリーバランスを黒字化させる。」である。
要するに支出しない。
と言う。
デフレでカネが回らない時に、
カネをコストゼロで作れる唯一の経済主体である政府が黒字になったら、
国民はどんどん貧しくなるに決まっている。
支出を切り詰める。
そこに電力自由化、労働市場の自由化を進める。
東京電力は競争のために、発電能力を需要ギリギリに抑えようとする。
何が起きる?
はい、ギリギリの生産能力しかもたないので、平均気温がちょっと上回るだけで、
電力不足なります!!!!
貧しい国民が消費を抑える→企業が生産力を減らして消費に対応する。→生産力が落ちる。
「災害」という莫大な需要が発生する。→ 生産力が落ちているので復興できない。
と、なりますな。
デフレ時は政府はどんどん支出を増やさないといけない。
そもそも企業がカネを借りない状態(=低金利)と言うのは異常だ。
要するに需要もないのにカネを借りてまで商売する必要がない。
という異常事態なのである。
貧しいサラリーマンや中小企業経営者だけがカネを借りる。
金利が適正水準にならないのは、
政府がカネを使わないからである。
国債を日銀券に取り換えっこしても、ただ、貸借対照表の勘定科目が取り換えられただけで、だれのPLにもなんの影響もない。
インフレにするためには、
国民一人一人、企業のPLがガンガン大きくなっていき、税引後純利益が積み上がっていく必要があるのだ。
そしてその赤字を受け止められるのは
コストゼロでカネを作れる政府だけだ。
財源とか言っている政治家は、まさか未だに金本位制度で、
カネが有限だと思っているのではなかろうな‥‥。
1万円札の原価は14円である。
金とは交換できないのだよ。
インフレ率が適正な水準になるまではいくらでも発行して良いのだよ。
しなくても良い苦労をして日本の生産能力は発展途上国みたいになっている。
この10年で資産を大きく増やした私はむしろ天才かもしれない。
政府がどんどんカネを吸い上げたのに、
資産を拡大している人は天才だ。
2回も税務調査を喰らったが、拡大を止めない。
また話がそれたが、
日銀は悪くない。
できることは全部やった。
日銀が消費を拡大することはできないのだから、
悪いのは自民党だ。
私は次の参院選は「国民民主党」に投票する。
無駄だけど。
をはり