借金も資産である。
これは重要な発想で、借金がたくさんあると言う人はもれなく金持ちである。
そもそも借入金が発生したら、
要物契約である金銭消費貸借契約が成立したということで、
現金または預金も発生する。
借金だけが発生するということは原則としてあり得ない。
まあ損害賠償金などはいきなり損益の損として出現してくることがあるが、
オーソドックスな借金の場合には、必ず対応する現預金が手に入るのである。
日本人が借金、借金と言われてイメージするのは、
単なる返済だけ、なぜか借金に対応する現預金、またはそれで投資した設備などは無視して、借入だけがドーンと残っていることを想像する人が多すぎる。
バランスシートなのだから両建で考える習慣をつけたいものだ。
しかもなぜか、一括返済を求められていて、期限の利益どこいったんじゃい!
という状態のことが多い。
(テレビの見過ぎかもしれん)
さて、私も、昔は借金が嫌いだったが、
今ではむしろ好きだ。
借金でも特に元本返済がない借金は実質的には貰ったようなものだ。
金利さえ払っておけば返済期日までは自由に使える。
が、また逆説的なのだが、
このカネ(借金で調達したカネ)は使わずに置いておくことが
さらに強い効果を発揮する。
この効果が、金融機関からの信用であり、
『財務が盤石な感じ』である。
この雰囲気こそが資金調達による最大のメリットである。
さらに、
重要な前提がある。
この借入と現預金の増加を支えるのが、
強いPLである。
損益計算書で毎期(毎月ならなお良し)、黒字を出しているという事実。
これがさらに財務の安定をもたらす。
なぜならば、PLの一番下、つまり当期純利益が毎期生み出されていることで、
利払いは当然として、元金も問題なく償還される。
増えた現預金が時間と共に、「借入金の減少」という返済実績としてさらに信用が増す。
そして、返済をしてもなお、CFがプラスだったりすると、
「借入金減少」&「さらなる現預金の増加」これが起きる。
もうこの状態になったら、無双状態だ。
借入→利益増加→現預金増加→更なる借入余力の拡大→借入→投資→利益増加
この無限地獄ならぬ、無限天国状態になること。
これが事業経営の究極の形だと思う。
無論、この利益増→現金増加→投資→利益増
という循環は、借入金の増加が無くても、発生しうることは事実である。
しかし、借入金を使うことで、これが加速する。
100万円の利益→100万円の仕入→150万円の利益→150万円の仕入
借入を使えば、
100万円の利益、1000万円の借入→1,100万円の仕入→1650万円の利益
と、粗利50%だとすると、10倍の加速度が生まれる。
これが借入のレバレッジである。
無論、500万円は手許に置いて、仕入は600万にしても良い。
結局借入は将来利益で返済される前提で行われる。
その意味で、日本国債の残高が、GDPに連動するというのは、
民間企業で言うと、将来の収益を前提として借入をする。
というのと発想が同じである。
どうせ大家業なんてもんは、物件選定をミスらない限り、
利幅は小さいが、確実に収益になる。
借入は現預金を十分な水準で確保しつつ、どんどん行うべきなのだ。
現金1,000万、負債ゼロ、純資産1,000万円のBSを持つA社。
現金1億円、負債9,000万、純資産が同じく1,000万円のBSを持つB社。
ガチンコの勝負をしたらB社が勝つ。
同じ商品で勝負したらB社は、広告宣伝に1,000万、人件費を500万上乗せ。
取引先の接待に300万、仕入業者に大量仕入れに伴う値引きを仕掛けることができる。
自己資金だけで勝負するA社は仕入に1,000万円つかってしまったらもう打つ手がない。
借入を悪と断じるのは負けを引き寄せるようなものである。
私は40代までこの考えが徹底出来ていなかった。
成長が遅かったのはこれによる。
ただ、この感覚をちゃんと骨身にしみて理解するために、
それだけの時間が必要だったとも言える。
借金取りとしてキャリアを出発した私が、借入金に対する嫌悪感を抱くのは当然で、その呪縛から解放されるために40歳までの時間を要したのは、自然なことだった。
むしろ早かったとも言える。
妻はいまだに借金は嫌いだし、父も母も借金を嫌ったまま死ぬだろう。
私は違う、そこは脱した。
だから借金を残して死ぬ。
借金は相続財産も減らしてくれる。
借金も資産なのである。
それをヨシヨシと思う者でなければSAT家の後継者にはなれない。
をはり
2026年5月14日(木)

