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無能社員になってはいけないが昇進してもいけない。

2割が8割を稼ぐという法則

世にいうパレートの法則というやつだが、
これは事実だろう。
会社においても利益の8割は2割の主力ビジネスが稼いでいたり、
全社員のうち上位20%が成果のほとんどを稼いでいるというやつだ。

勤め人大家で豊かに生きようと提案する私としては、
この法則を前提に
「会社において自分のどの位置にポジショニングさせるか??」
というのは極めて重要である。と、思うのである。

当然、自分のポジションを決めるのは自分ではない。
会社の役員や上司である。

つまり、上司が「こいつはこれをやらせよう」
と、思うように自分で動き、上司をして
思い通りのポジションに自分を配置せしめることが重要なのである。

30代前半までは常に上位20%でやってきた。

学歴も上位20%以内の大学を出た。
就職後も、控えめに言って、常に上位20%の成果を出して生きてきたと思う。
常に収益を稼ぐ部署に配属され、ノルマを達成し続けてきた。

この流れに違和感を感じたのは30代前半であろう。
気づくのが遅いとは思うが‥‥。

私は銀行の子会社で住宅ローンの長期延滞者の管理と、
破綻先の債権回収を担当した。

この仕事‥‥。
控えめに言って、楽だった。
楽な割に銀行の子会社なので給料が高い。
前職では400万円台だった年収が2倍になった。

年収400万円の生活レベルで年収が倍増したので、
私の不動産購入が加速した時期である。

住宅ローンを延滞する人間と言うのは、
まあ経済的に「知恵遅れ」である。
賢い人間はいない。
アホばかりである。
そんな人間をキッチリ型にはめて、まともに戻るように促したり、
話にならない相手には法的に対応するだけなので、
非常に楽だ。

今の仕事のようにM&Aがからむシビアな交渉など、ない。
世間一般的には今の仕事の方がキラキラしているだろうし、
給与水準も高いので、「人気」ではあるだろう。

しかし、私は住宅ローンの延滞管理や破綻先の回収という仕事は極めて
良い「勤め人仕事」だと思う。
特に給与水準が無駄に高い会社であれば、さらに良い。

そう、私は当時、まさに天職を得ていたのだと思う。

しかし

圧倒的な成果を出した私に待っていたのは、新規事業部への異動

長期延滞率を5%から1%に激減させ、
破綻先の回収率を30%から60%に1年で引き上げた。
私が担当していたプールだけが、並外れた結果となった。

これによって私は「有能な人間」
という評価を得た。
銀行の偉い人も注目した。

その結果どうなったか?
なんと私は、銀行の投資銀行部門で行う新規事業のメンバーに抜擢されたのである。
これは、一般的に見れば大いに素晴らしいことなのかもしれない。
秀吉的な大出世だと言える。

無能な人間が担当しがちな住宅ローンの延滞管理と破綻先の回収に、
私のような普通に賢い人間をあてがえば、それは結果が出る。
当たり前の話だ。

しかし、企業とその勤め人は頭が悪い。
私のことを極めて優秀な人間だと勘違いをして、
私を、より稼ぐための部署に転換して、
再び私のポジションに普通の人間をあてがったのである。

ニホンザルの群れの中にゴリラがいたら、
ゴリラが群れを支配するだろう。
しかし、
その支配ゴリラを同じような腕力を持つゴリラの群れに入れたとしても、
支配ゴリラの地位を得るとは限らない。

猫の集団にライオンを放り込んだら、
ライオンが圧倒するだろうが、
ティラノサウルスの群れにライオンを放り込んでもライオンが殺される。

ゴリラもライオンも、それまでは50%の力でオラオラできたのに、
100%の力を出さないと生き残れなくなるのである。

ピーターの法則

パレートの法則に続き、
ピーターの法則と言うものがある。

一言でいうと、
「人は無能になるまで出世する」
ということである。

猫の群れの中で勝利したライオンは、
狼の群れへと出世する。
次に虎の群れに出世し、次はライオンの群れに出世する。
そこで激烈な争いに勝利して、
ティラノサウルスの群れに進み、
そこでゴミのように殺されるのである。

これと全く同じことが勤め人の世界では発生するのである。
小学校ー中学校ー高校とエリート街道を進み、
東大に進んで、財務省に入る。
財務省に集まるのは当然全員がエリートである。
競争のレベルがどんどんエスカレートするのだ。

これはスポーツの世界でも同じで、
小学校のエースで4番が高校まで通用しても、
プロ野球では万年2軍になる。
同じ理屈であろう。

要するに何も考えずに頑張っていくと、
どんどん厳しい競争に突入させられるということなのだ。

延滞住宅ローンの回収だけしているのが最善だった。

私はどうすべきだったのだろうか?
そう、住宅ローンの延滞管理だけ、前任者をわずかに上回る程度のパフォーマンスを出して、目立たぬよう、働いていればよかったのだ。

投資銀行部門の新規事業に進んだ私が得たのは100万円弱の昇給に過ぎない。
しかし、やるべき仕事は激務である。
ワンショット5億円で年10%以上で回る案件を発掘して銀行の稟議を通すなんて、
難易度が高過ぎるのである。
同僚はもちろん、市場で案件の取り合いをする他社の担当者も私と同じか、それ以上の能力を持っているのだから、競争のレベルが給料の割に合わないレベルに達するのだ。

私は大いに失敗し、反省した。
それでも根が負けず嫌いなので1件投資して、
さっさと小さなファンド運用会社に転職してしまった。

今でも思う。
住宅ローンの延滞管理をずっと続けていれば、
今頃もっと豊かに生きられたのではないかと。

ファンド運用会社もなかなか激務ではある。
確かに給与も高いが、税率も高い(笑)。
生活レベルも上げてしまい、妻も教育費に遠慮なく投資するようになってしまった。

経済的自由を目指す若者達へ。

まずは自己採点をせよ。
自分が50点の人間だと判断したら、
30点の人間が集まる場所で勤め人をすると良い。

80点の人間であれば60点迄の場所で勤めるのだ。

そして、その場所で無双してはならぬ。
無双できるのは当たり前だ。
ドラクエⅢでいうと、
レベル20でアリアハンのモンスターを倒しまくれるのは当たり前だ。
それはやるな。
それをやると厳しい世界に連れていかれるぞ。

低レベルの職場で、給料に見合った、そこそこの成果を出しておくのが
最も賢い戦略だ。
2割の力で勤め人を行い、浮いたパワーでこれまた不動産のような
中学生の頭脳でもできる程度のビジネスを手堅く回すのだ。

そうすることが恐らく最も割が良い。
私のようなミスを犯してはいけない。

蛇足

さて、そんな筋金入りのぬるい人生を目指していた私だが、
ついに出世してしまった‥‥。

同僚が全員早慶以上の大学を出て、大手銀行から転職してくるような職場で、
平均点くらいを取ってここまで生き延びてきたのだが、
50代の社員が退職したので、その後任として
そこそこのファンドの責任者に据えられてしまった。
モチロン8割の収益を稼ぐようなビジネスではない。
しかし、傍流とは言え、それなりに責任も権限もある立場だ。

断ることもできたのだが、
断ると8割の利益を稼ぐ部隊の下働きに回されることが分かっていた。
右も苦しいが左はもっと苦しい、
右か左を選ばねばならぬ以上は右を選んだという話だ。

結局勤め人を続ける限りはこんなものだと思う。
上手く立ち回ったとしても、行き止まりは必ずある。
一日も早く十分な資産を形成して、抜け道を作っておかないと‥‥

つづく












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