日本の相続税は資本家を作らせないようにできている
私の債権回収の仕事の話だが、
超有名な戦国大名の末裔の債務者がいたことがある。
信長の野望をプレイしていたら、
絶対に知っている名門の家である。
明治維新まで生き残って、明治には、渋谷区に広大な土地を所有していたらしい。
それが平成の世になってみたら、全て失っていた。
担保処分した後の残債を私が担当して回収したのである。
だが、債務者とは一切接触できないまま終わった。
理由は忘れてしまった。
現職の衆議院議員に対する議員報酬差押の稟議書を提出する私が、
有名大名の末裔だからと言って、手を緩めるわけがない。
確か破産していたか、民事再生か何かで請求できなくなっていたはずだ。
結局破綻に至った理由は相続税だ。
私の爺様が大正生まれだったから、
明治の名門から数えて3代目だったはずだ。
日本の相続税は、3代も経過すると全て失うようにできている。
恐ろしい話だ。
だが、資本家が固定化すると言う方が逆に恐ろしい部分もあって、
ちゃんとバカが没落していくのは、
優秀な新興勢力を勃興させるためには良いことである。
一方で、賢明なる一族は、世代を超えて富を伝える。
政治家などは自分達が立法できるのだから、
私ごときにでも理解できるような、制度を作って、
簡単に相続税を逃れることが出来るようにしている。
二世、三世、四世議員がいるのは、そういう相続税制上の
優遇措置があるからに相違ない。
これは利用しない手はない。
資産がある人は相続対策が焦眉の急である
一番ダメなパターンは個人名義で資産を保有することである。
これはいかん。
法人にしておいた方が良い。
私が時価総額10億円の法人のオーナーとして相続を迎えたとしよう。
私もド素人なのでまだ詳しくないのだが、
不動産が20億、債務が10億の法人だとしたら、
不動産は賃貸用不動産だから、借地権割合で路線価を計算して、
ざっと半分に資産価値を圧縮できる。
そうなると、10億の資産で、債務が10億の法人だから、
相続対象資産はゼロ円であり、株式は相続税非課税で息子に引き渡せる。
まあ個人でもできると言えばできるのだが、
法人があった方がやりやすいだろう。
法人は死なないので、不動産の名義を移転する必要がない。
登録免許税がかからない。
何世代も承継していくのだから、法人で持っていた方が良い。
現金は、政治団体を作ってそこにガンガン寄付したらいい。
政治団体の代表を変えるだけでキャッシュを温存できる。
政治を稼業の1部に組み込んで、誰か1名は政治家にしておく作戦は有効だ。
まあ、とにかくである。
相続のタイミングで、法人の相続税評価上の株価を下げるのは簡単である。
相続税評価の低い不動産を買い、さらに借金をすればいいだけである。
株価が下がってしまえば、別に死ぬのを待たずに、
後継者に株を低価格で譲渡しても問題ない。
タイミングを「死」という読めない事象に左右されないから、
法人を使う方が絶対に有利である。
一族として時間軸を長く見て勝負していく
自分一代で何か成し遂げるのは極めて難しい。
天賦の才能がなければ困難である。
ただ、凡人でも生活を質素に整えて、ホワイト勤め人をする。
余剰資金で割安な貸家を買っていくと言う戦法は可能だ。
60歳までには純資産で3億程度は作れるだろう。
私でさえ、45歳で既に1億である。
ちゃんと60歳まで回していけば3億は可能だし、
不動産なら引退はない。
頭が動く70歳くらいまでは、増やせるだろう。
低く見ても5億程度の純資産は形成可能だ。
70歳にもなれば息子も40歳前後になっているだろう。
孫世代への支援をしつつ、
次世代への法人の受け渡しをしたらいい。
ちゃんと資産を承継すれば
2代目は50歳には勤め人を卒業できるだろう。
2代目は50歳で勤め人卒業だ。
3代目からはもういきなり専業大家でやっていける。
初代は健康に長生きして、3代目の孫の世話をしながら、
帝王学を叩き込んでいったらよい。
かようにして、人生を生きれば、
自分探しなどしている暇などない。
忙しいまま死ねるだろう。
短期の時間軸で勝負すると、必ずどこかで手痛い敗戦を食らうことになる。
孫世代まで見据えた戦略を取ることだ。
特に1代で事業など起こしてしまうのは、ある意味不幸である。
2代目、3代目と、その事業を運営していく才能がある人物が産まれる可能性は低い。
大きい事業になればなるほど、他人が経営することになるだろう。
あくまでも、創業者一家の本業は地主を目指すべきだ。
つまり貸家業である。
まさに始祖の巨人である。
この貸家業をベースにするのは理由があって、
「バカでもある程度経営できる」点にある。
適正価格で中古住宅を買い、平均的リフォームをして、貸す。
こんな簡単な商売はない。
そうやって一族の柱を作っておいて、
才能あるやつが産まれたら、そいつには惜しみなく投資したらいい。
外に出て起業するヤツが出るかもしれないし、
芸能やスポーツの才があるヤツが出るかもしれん。
しかし、それでもなお、一族の長、
始祖の巨人を持つ者は、最低限の税、法、不動産知識と、
貸家業の実務を手堅く回す保守的なヤツ。であるべきだ。
逆に一族の財産を担保にレバレッジをかけて10倍にするようなヤツは危険だ。
それではダメなのだ。
昨日、今日、明日と、ハンコで押したような同じような毎日を過ごしながら、
人生を楽しめるような人間が望ましい。
そうやって繁栄して欲しい。
私は初代となり、死後、また、5代目くらいでまたSAT家に産まれて、
次の人生でやりたいことをやれたら、これに勝る喜びはない。
死後とか来世なんて!
と笑う勿れ、そこまでの長い時間軸を持って資産形成、次世代への承継を考えれば、
成功する可能性はより、高まるという話である。
をはり