紙幣の本質は「金銭消費貸借契約証書」
既に何度も話しているが、
日本銀行券とは何か？という話。
兌換紙幣（金と交換可能な紙幣）だったころは、
紙幣を日銀（？）に持って行ったら金と交換できたそうだ。
紙幣の流通量が金の価値の総額と一致するから、
金をたくさん持っている国家がたくさん紙幣を発行できたというわけだ。
しかし、現代の紙幣は、日本銀行に持って行っても、
金とは交換してくれない。
日本銀行券は、日本銀行に対して日本銀行券をよこせ！
という請求権である。
１万円を持って行って請求したら、
新しい１万円札をくれるだろう。
しからば紙幣の価値とはどこにあるのだろう？
現代貨幣論では、「納税手段」としての価値がある。
という説明になるのだそうだ。
BITコインでは納税が出来ない。
故に仮想通貨は通貨にあらず、ただの投機対象である。
通過性が認められたら、外国為替の影響を排除できるかもしれないが、
またそれは別の話。
ちなみにアベノミクスで日銀が行った量的緩和。
日銀がETF、つまり株式を購入しまくった政策があったが、
インフレになる！
という大方の予想を覆して、デフレが続行した。
通過を大量に市場に供給したのだが、
全く物価上昇が起きなかった。
これは当たり前の話で、
日本人が株式投資に目覚めて日経平均が10万円を突破したとしても、
GDPは増えないのである。
１０万円の現金が、１０万円の株式に変わっただけ。
資産の欄で移動が起きたに過ぎないのである。
普通に考えて見れば、付加価値とは利益である。
BSの勘定が切り替わっただけでは利益は出ない。
（売って利益が確定したら別だが）
誰かの経費は誰かの売上であり、その差額が利益となり、
付加価値となる。それでGDPが拡大する。
誰か？が損をしないと誰かの利益にはならないのである。
故に、景気後退局面では民間投資が進まないから、
政府が積極財政を行って、需要を作らなければならない。
こんなことはケインズが１００年以上前に説明している。
文系の学問と言うヤツは普通に「後退」する。
バカになるのである。
理系であれば、大学生でも相対性理論を理解するが、
文系は常には進歩しない。面白い学問だ。
経済学は明らかに後退している学問である。
話がそれた。
紙幣の本質が、日本銀行に対する請求権、
つまり日本銀行を債務者とする借用証書であると説明した。
そして、実は住宅ローンもまた、借用証書である。
住宅ローンが増えると通貨が増える
分かりやすくするために、
経済主体が３者しかいない経済を考えてみる。
① 銀行
② 不動産屋
③ 家を買う人
この経済社会には１００万円の通貨があったとする。
銀行が５０、不動産屋が３０、家を買う人が２０を持っていたとする。
不動産会社が、家を作って１００万円で売ろうと思っている。
しかし家買う人は２０万円しかない。
銀行で１００万円を借りようと思って借用書を書いた。
銀行には５０万円しかないのだが、通帳に１００万円と記載して、融資をした。
家を買う人の通帳には、１２０万円がある。
この通帳に１００万円を書いた瞬間に、この経済世界の通貨の総量が２００万円に増加した。
無からカネが産まれた。
その請求権の根拠は「住宅ローンの金銭消費貸借契約書」である。
家を買う人の口座から、１００万円が、不動産会社に移動する。
不動産会社は１３０万の預金がある。
１５０万円のうち、７０万円を家を建てた大工に支払うが、
大工は家を買う人だった。
不動産屋の残高は６０万
家を買った人の残高は９０万円
銀行の残高は５０万円
通貨の総量は２００万円のまま。
返済が進むと、徐々に銀行にカネが移動するが、
一気に完済はできない。
家を買った人の現預金は９０万しかないのだ。
銀行も給料を払う。
給料を受け取るのは、家を買った人だ。
そうやってカネがグルグルと回る。
銀行が銀行たるゆえんは預金口座を持っていて、
カネを無から生み出すことが出来る。
銀行もサラ金もカネを貸すのだが、
銀行が銀行と言われ、厳しい規制があるのは、
通貨を創造する機能、つまり信用創造機能があるから。
取り立て屋とは違う。
公器である。
単なる民間企業ではない。
つまり住宅ローンは経済規模の拡大に資する
経済成長していくためには、通貨が継続的に供給されていないとダメだ。
特に資本主義経済と言うヤツは、出資、借入という調達（貸方）によって
設備投資をして工場を作り、経費を支払った以上の利益を上げていかねばならない。
適度のインフレ（需要の増加）を伴いながら成長していく。
その通貨を供給する主体が政府（日銀）、と民間銀行。
これだけだ。
別に親からカネを借りても信用創造なのでは？
と、思うかもしれないが、
それは違う。親はカネを貸すために、現金を集めなければならない。
オヤジ銀行の通帳に１００万円と書いても、
その口座から、１００万円、どこにも送金できないのである。
オヤジは息子にカネを貸すために、カネを銀行から借りる。
信用の根拠は親の勤続年数だったり、勤め先の優良度であったりする。
その場合には銀行は口座にスラスラと１００万円と印字するが、
その際には実際に銀行には現預金は必要ない。
貸方に「預金１００万円」借方に「貸付金１００万円」と計上されるのみだ。
（銀行にとって預金は負債）
銀行がカネを貸すのに現金は要らない。
民間だけで通過を創造するには、
このように銀行が審査をして、貸すという働きがなければならない。
バブル経済期には政府はほとんど国債を発行していなかった。
民間の信用創造だけで莫大なカネが市場に供給されて狂乱経済を作り出したのである。
それを思いっきり叩き潰して、信用創造システムを破壊したのが、
バブル崩壊である。
これは人為的に崩壊させた経済危機である。
リーマンショックの際にFRBがやったこと。
つまり民間の信用創造を政府の信用で肩代りした。
それでいい。
山一証券も三洋証券も、長銀も拓銀も潰す必要は全くなかった。
国有化して統合して、再度民営化したらそれでよかったのだ。
カネの流通を目詰まりさせて大量の自殺者、倒産を生み出した。
だから、大蔵省は無能だと言われるのであり、
当時の反省もないまま、日本のかじ取りを失敗しているから、
解体デモなどされるのだ。
また話がそれた。
つまり借金が増えれば増えるほど、
民間で信用創造が進み、カネの流通が増える。
そして皆が消費、散財するほどに、PLも改善する。
PLが改善すると、銀行がカネを貸す。
（バブル期はPLではなく、不動産、株を根拠に貸していたので、今とは異なるが）
かようにして経済は成長していくのだ。
住宅ローンってヤツはデフォルト率が低い。
バブル期も不動産を根拠に信用創造が行われていたが、
今も同じだ。
国民が借金こさえて、家を買うから、
カネが流通するのだ。
カネは不動産会社に入り、不動産会社はボーナスをドンっと払う。
社員はそのボーナスで飲食、消費する。
飲食店も百貨店も儲かる。
その飲食店と百貨店の社員にもボーナスが出る。
その社員がまた「家でも買うか！」
となって、住宅ローンを組んで家を買う。
また、カネが産まれる。
こうやってカネがどんどん回ると経済は成長するのだ。
つまり、住宅ローンは日本経済にとって非常にいいことである。
３５年と言わず、４０年、５０年、親子ローンで８０年。
どんどん行くべきなのだ。
是非、皆さんはデカい借金こさえて日本の経済成長に貢献して欲しい。
ただ、私はそのゲームには乗らない。
住宅ローン減税なんて、餌には食いつかん。
SAT一族のビジネスは、
古い貸家を買って、直して貸すビジネスである。
皆さんがピカピカの家に住んで、
老人ホームに入るために手放すのを購入させて頂く。
それを修理して、最後まで貸して使ってもらう。
借りるのは住宅ローンを組めないような信用のない人だ。
私はそのゲームには参加しないが、
㈱SATのBSとPLという信用で、借入をして、
通貨を供給する。
皆さんはどうぞどうぞ、限界まで借金をして、
信用創造をして頂きたい。
私はそれには協力できないので、
別の方法で協力する。
政府は今後も住宅ローンに手厚い支援をするだろう。
それは皆さんに家を持ってほしいからではない。
民間の信用創造の大きな比重を占めている、
住宅ローン（借金）を増やしたいのだ。
ついでに固定資産税も取れるし、家を買うと、
バカは気が大きくなって、家具も新調するし、
それに負けない新車も買う。
さらに経済が拡大する。
いいことしかない。
是非デカイ借金をしてくれ！
（俺はしないけど）
をはり